韓国の「半地下部屋」で思い出したこと

先日、アカデミー賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ監督)」を観てからじわじわと韓国在住したときのことを思い出した。

映画の題目になっている「半地下の部屋」や「消毒剤の煙」のことだ。韓国の中小企業の支援を始めた時期は1995年の4月からだった、韓国経済が破綻しIMF体制になったのが1997年だから急速に国家財政が悪化する直前だった。

私が赴任してから低コストを武器に日本への輸出が始まり拡大していたので当時60名の弱小企業もなんとか破綻せずに済んでいた。

しかし日本企業からの細かい品質クレームを止めないと大変なことになるので対策に必死だった。中でも外注からの半製品に問題が多く出ていた。

「真実は一つ、製造業の真実は現場あり」と考えていたので何処でも現場に行って現実を見て指導を行った。この中の外注の一つが半地下も部屋だった。(当時の思い出がアップされている)

半地下の仕事部屋

当時は中途半端な変な造りの部屋だなと思って同行者に聞いてみたら北朝鮮からの爆撃など避けるために政府が義務付したので設置した地下室です、今は規制がなくなり現在は住んでいる人も居るとの説明があった。

韓国の住宅事情についてお金持ちは複数のアパート(マンション)を持っていて、次に自分自身のアパートを持ち、次は保証金が必要な賃貸しアパート、貧乏人は地下室で暮らし、ビニールハウス等で暮らす最貧民層もいるとの話にそんなものかなと思った。

初夏の時期に田舎の道を歩いているとて小型トラックで大量の煙を出しながら来る時があった、どうも夏の伝染病予防のためと聞いたがかなりやり方がすごい。

我々も害虫みたいだなと言いながら避けたことがあった、韓国のやり方はこんな事でもダイナミックだ。パラサイトの映画でも同じような煙を出しながら消毒するシーンがあった。

韓国の中小企業から見た財閥企業の格差は新人従業員の平均年収でも1.5倍以上の大きな差があり大卒の新人はまど採用できない。優秀な人材が集まらないのは日本も同じだ。

金持ちはずっと金持ちだし、底辺はずっと底辺が世の常になっている社会は異常だ。異状が
続くと正常に見えてくる。もちろん例外はあるだろうが「格差」や「貧困」は国を超えて共通した課題。

2002年当時のソウルの一角