「なぜ私は韓国に勝てたか」を読んだ

 産経新聞のソウル支局長が韓国の朴槿恵大統領に対する
名誉棄損で訴えられて起訴され、無実の判決を受けた
事件の内容を朴槿恵政権との500日戦争としてまとめた
ものである。

 日頃から韓国では産経新聞は日本のマスディアとして極右
であり、朝日新聞は良心的な新聞として評価されている。
このことは韓国のニュースなどに接していると誰でも解る
ことである。

まして朴大統領の反日的な言動に対して嫌韓感情を流している
系列夕刊紙では少し極端な表現が多いことも事実。

 名誉棄損とされたコラムの内容をあらためて読んでみたが
セオウル号事件の発生した当日に朴大統領が男と会っていたと
いうような噂を確認もせずにゴシップ記事の週刊誌のように
書いたことは新聞社の支局長として韓国政府に対しての認識が
少し甘すぎたのではなかろうかとまず感じた。

だからといって名誉毀損罪で起訴する韓国の司法もまったく
理解できない。

 大統領が気に入らない記事なら堂々と反論すれば
よいのだ。韓国の大統領制は、アメリカと違って大統領の
地位が三権の上にあるようだからいくらでも司法への
働きかけは出来るはずであるのに言論の自由をめぐる問題
として起訴され、8か月間の出国禁止の憂き目に遭うという
出来事だったのだ。

 起訴され公判があり無罪となったドラマが終わっての印象を、
炭鉱夫が有毒ガスの発生を事前に察知するカナリアを
つれてゆくことに喩え、自分がカナリアの役目を負わされて
いたのではないかと、その端的な感想を綴る。

 一連の出来事を通じて強く感じたことは、韓国と価値観を
共有することは極めて困難であるということだったと述べている。

 この本の最後に「加藤裁判記録主な攻防」というのがあり
韓国の法廷内で交わされた本人、弁護人、検察官の発言内容が
載っているが韓国での裁判の中身を知るうえで興味深かった。

読んだ本

読んだ

著者 :加藤達也
出版社:産経新聞出版
発売日:2016年2月2日
ISBN978-4-8191-1274-1
定価  :1400円+税