宇都宮に住む弁護士の米田軍平氏が自主出版した「日本と韓国の未来のために」と題する本を無料で戴いたので正月に読んでみた。
日韓の歴史問題を独自に調査・研究した内容で歴史認識を共有し共に未来を創ろうと呼び掛けている。
歴史認識の共有は歴史の事実を両国民がもっと知ることから始まる、この本には日本が関係した閔王妃の殺害、柳寛順の獄死、安重根の人物像、関東大震災時の朝鮮人殺戮などが歴史的事実として書かれている。
日本が韓国を併合したのは武力により日本の為に韓国を植民地化したのは間違いないと思うし、その中でいろいろな弾圧や搾取があったはずだ、この事実を多くの日本人が知らなければならない。
私自身も子供の頃に理由も分からず朝鮮人の子供を差別した事を覚えているし贖罪の気持ちも残っている。
しかし現在の文在寅韓国政府のイデオロギーで日本と対峙しているだけでは歴史認識は共有できないのではないかとも感じている。
この本の第一章に若き学生詩人「尹東柱(ユン・ドンジュ)」について書かれているのが印象に残った。尹東柱の詩集は以前に買って読んだが、心を揺さぶられた詩が多かった。
彼は1942年(昭和17年)日本へ渡航、同志社大学へ在学中に治安維持法違反で懲役刑を宣告されて刑務所に投獄され1945年(昭和20年)に27歳という若さで獄死した人である。
詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)については日本ではあまり知られていないが韓国では知らない人がいない、ソウルタワーがある南山にも彼の詩碑があり訪問した事がある。
この詩人・尹東柱の「序詩」は原文はハングルで書かれ
ているが伊吹郷訳の内容を紹介する。
『序詩』
死ぬ日まで空を仰ぎ
一点の恥辱なきことを
葉あいにそよぐ風にも
わたしは心痛んだ。
星をうたう心で
生きとし生けるものをいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を
歩みゆかねば。
今宵も星が風に吹き晒らされる
支援した韓国企業が2010年に中国吉林省の延吉市に工場を作った時に彼の生まれ故郷の瀧井市を訪ねて尹東柱記念館を訪問したことがあった。