幕末期、諸大名たちは深刻な財政危機に直面していた。
越後丹生山(にぶやま)三万石松平家の財政も挽回不能の状況であった。
今回の主人公藩主・松平和泉守信房(小四郎)は弱冠21歳だ。
ひょんなことから御家の跡を襲ぐことになる、背景には父親の企みがあった。
何も知らずにお殿様となった小四郎は、借金25万両、利息だけで年3万両という
財政赤字と懸命に取り組んでいく。
小四郎の存在感や伝蔵という人物の潔さ。みな善人だが二百数十年続いた
徳川幕府が金属疲労でどうにもならない時代を生きる小四郎が
窮地を乗り切ろうとする奮闘ぶりが面白い。
この人物の真面目さというか、健気さが小説のひとつの読みどころ、
人情小説の温かみを感じた。
気の遠くなるようなこの難問をどう解決したのか。
その捻出方法など気になる。
続編も手元にあるのでこの先がどうなるのか気がはやる。