書籍・「夢のあとさき」を読んで

今回は日韓企業のサッカーの親善交流に韓国企業のオーナーから招待があったので一日早く訪韓したのは、龍仁市にある法輪寺を訪問したかった。

先日ネット情報から芸能界で活躍し韓国通でも知られている黒田福美氏の執筆「夢のあとさきー帰郷祈願碑とわたし」を購入して読んだことかきっかけである。

夢のあとさき 発行:三五館 ¥:1500円

この本の内容をざっと紹介すれば、著者の黒田福美氏はある時、夢枕に立ったという韓国人特攻隊員(卓庚鉉、日本名・光山文博)への思いから韓国にその慰霊碑を立てることを志した。

多くの紆余曲折があったが慰霊碑は「帰郷祈念碑」として完成し、日本からの協力者も参加して兵士の故郷、泗川市(シチョン市)の公園で除幕式が行われるところまでこぎつけた。

除幕式の当日になり光復会という民族団体などの反日デモが押しかけ大騒ぎとなり除幕式は急きょ中止となり、石碑は撤去されてしまった。

「親日売国奴の特攻隊を称えるような碑は許せない」というのが反対の理由だが、こうなると反日・愛国論で反対を扇動する団体には誰もそれを押し留められない韓国の「反日」の現状がある。

日韓双方の善意と協力の結晶が一瞬にして砕かれてしまったが「亡くなった人に罪はない。仏教の教えに沿えば、魂を救ってあげなくてはいけない」として、この法輪寺の境内への移築を受け入れたのである。戦争と戦没者について記述された面が見えないよう石碑を仰向けにして土に埋めてある。

団体からの撤去要求の哀しい経験とそれでも変わらぬ日韓の真の和解に向けた黒田福美氏の思いが胸を打った。

数年前まで顧問として指導した中小企業が韓国の龍仁市にある。寺は山間部にあるので社長に配車を要請したら快く引き受けていただいた。