「婿どの相逢席」の読後感

著者の西條奈加氏は直木賞受賞作の「心淋し川」を昨年2月に検査入院した時に病院で読んだ。江戸時代の庶民の人情が味わえる作品で人情噺が上手いとの思いが残っていた作者だなと感じていた。

間質肺炎を発症した初期にはもっぱらお家時間になっていたので多くの書物を買い込んで読んだ。この小説は江戸は11代将軍徳川家斉の頃、楊枝屋の四男鈴之助が婿入りした先は女主人が仕切る仕出し屋だった。

鈴之助は決して力尽くではなく、穏やかな人柄で柔らかく問題を解決してゆく内容だが上手く解決する中に江戸の町の様子や人々の暮らしぶりが垣間見えた

心がほっこりするような展開の中に、何事も前向きに考えタイミングを計って問題解決に導く鈴之助のような心根の優しさや他人を思いやる心を持ちたい。