詩・倚りかからず

朝の雨はすぐに雪に変わった関東も真冬並みの寒さのようだ。冷たい雪が降る庭先にスズメが沢山集まって何かを啄ばんでいる。

じっと眺めていたら昨晩余ったコメ粒を撒いた場所だと家内が言った。

雪は午後も降り続いている、山林の中の展示館のオープン式はどうしたか気になった?

こんな時に茨木のり子の詩を読むと、その凛とした、精々しい美しさに心洗われ、背筋が伸びる気がする。

73歳の時に発表した詩「倚りかからず」という題の作品だ。

倚(よ)りかからず (73歳の作品)

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない

もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない

もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない

ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい

じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある

倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ