病院で助け合い

泌尿器科の受診の前には尿検査があるので検査室に行くと検査室前で老婦人がもっと高齢の旦那を車椅子に乗せて順番を待っていた。

順番が来てバックから受診カードを出して受診機械のカード挿入口を探していたので教えてあげた。

どうも初めての検査の様だった、受診カードを入れると採尿カップが出て来たので採血でなく私と同じ採尿と分かった。

一緒にトイレに行って便器の前で奥さんが旦那を立たせて採尿を手伝ったが老奧さんが大きな声で少しキツイ言葉使い。

隣の便前に立つ事もやっとの旦那さんは無口だ。

ハイ、コップだよ!この中に入れるのよ!

「— —」

出たの~!!

「— —」

少しでイイんだよ!!

後ろから大きな声で話されると、こちらも委縮して尿が出てこない・・・隣の旦那も同じだ。やっと出して・・・奥さんに渡した。

これ–どこへ 置く?

その小さな扉を開けて中に置いて置けばと教えた・・・お互い同じ病いかも、耳が遠くなっているから声が大きくなる、それでキツイ感じの声になるのだ。

採尿室から出る時に無口な旦那さんと顔が合った、ペコと頭を下げ「マスクの中の目がにっこり笑った」わたしもペコと頭を下げて笑いを返した。

旦那の笑い顔には感謝の気持ちが出ていた。老夫婦が助け合って生きている、いづれ我が身に起こる姿かもと重なって見えた。