水彩画教室の先生が参考にと紹介してくれた 「水彩学」(出口雄大著)について興味があったので購入しようかと思ったがその前に市図書館に行って検索したらあったので借りて読んだ。
「水彩学」なんて聞いたことがなかったがこの本の冒頭に著者の造語とあった。
堅苦しい内容かなと思いながら読んでゆくとだんだん引き込まれたのは私にとって新鮮な内容が多かったからだ。
韓国企業の支援が終了し時間が出来たので喜寿の手習いとして始めた透明水彩だが水彩画の歴史など学ぶ時間も機会もなかったのでこの本の内容は新鮮に感じた。
特に「水彩画の名手浅井忠と明治美術の変遷」の項が面白く印象に残った。
なぜ、デッサンが重要かとか、写実的な絵と写真の関係や20世紀における西洋絵画が写実が遠近法と明暗法の否定であったことも分かり易く書かれていた・・・なるほどと思うことが多かった。
芸術は「うまくあってはいけない、きれいであってはいけない、ここちよくあってはいけない」芸術は爆発だ!と言ったのがあの岡本太郎だ。
芸術の三原則とあったが彼の作品のいくつかを知っているのでさもありなんと思った。
趣味の水彩画だから芸術ではないだろうし「きれいでここちよい」で良いのではと思う、絵を観るのが好き、描いていると楽しければ自由に描く方が良い。水彩は画は水彩画であってもはや芸術とは関係ないとあった、同感だ。
確かに絵は「自由に描くべきだ」に対して、この書が示すものは「絵は自由に描けない」ということも確かだ。
絵がうまいとかデッサンが巧みとかは才能でなく、自転車や泳ぐのと同じで習得と練習の問題である。それに物の見方、どうみるかである。
副題に「よく学び よく描くために」とあるが、水彩画の歴史や水彩画の、画材選びから筆の使い方、色のにじませ方などの技法も解説している点でも参考になった。
先日湧き水地を訪ねた鹿畑天神の扁額に「温故知新」の文字があったが、まさに水彩画の歴史で先人たちが辿った道を知ることが出来た。
私の絵の上達にはあまり関係がないかもしれないが水彩画の奥深いところを知った書物だった。