近くの本屋に時々出掛けるが書棚にあった直木賞受賞,黒牢城(著者:米澤穂信)のという小説の題目が目に入って取り出してパラパラとめくってゆく内に全てを読みたくなったので購入し一気に読んでしまった。
黒田官兵衛は村重の謀反を翻意させようと説得を試みるが、村重の有岡城地下の土牢に幽閉されてしまう。
この作者は長引く有岡城内で起きた事件の謎解きに行き詰まった村重が、敵ながら稀世の知恵者である黒田官兵衛の頭脳を期待して土牢に向かう。
この設定がすごいし、よく思いついたなあと思った。ミステリアスな歴史小説という感じで面白かった。
籠城の中で戦況も人心も変わる。村重が何を考え、何に追い詰められていたのかが、事件を通して浮き彫りになる。
村重が家臣たちを残して有岡城を脱出するという村重に決意させたものは何だったのかを知ることになる。
荒木村重の人柄や生き様がよみがえったと感じさせるせる小説だった。
黒田官兵衛については以前に司馬遼太郎の歴史小説の「播磨灘物語」読んいたので思い出したことが多くあった。最終部にあった、黒田官兵衛の名言は何時の時代でも通じる。
「神明の罰より、主君の罰おそるべし、主君の罰より、臣下万民の罰おそるべし」=黒田官兵衛=
つまり「神明の罰は、祈りて免れるべし。主君の罰は、詫びて赦しを受くべし。ただ、臣下万民に疎んぜられては、祈りても詫びても免れがたし。かならず国家を失うにいたる、最も恐るべし」