有吉佐和子著「青い壺」を読んだ

有吉佐和子の著作では「恍惚の人、複合汚染、華岡青洲の妻」などを読んだことがあるが、かなり昔ように感じる。

それが最近、半世紀も前に出版された「青い壺」がベストセラーになったとの報道をみた。

先日本屋に行った時に一緒にこの「青い壺」も一緒に買って積んであったので読んでみた。無名の陶芸家の手で生み出された青い壺が陶芸家の手を離れ、それぞれの人生模様を映し出す連作短編集であった。

家族関係、老い、貧富、など現代でも通じる内容が描かれているので多くの人に共感できるからベストセラーになったのだろう。

昭和の暮らしのぶりや考え方など当時の雰囲気を味わえた。戦前の外交官の暮らしをした老夫婦の物語の中で心の贅沢は忘れない夫婦の夫が「人間には贅沢というものが必要なんだ」という言葉があった妙に印象に残っている。

「青い壺」とは青磁の壺ということになるが、韓国での思い出として勤務した工場が龍仁市にあったので近くに三星の創業者が作った「湖岩(ホアム)美術館」があり、日本来たお客を案内し訪問した。韓国の国宝級の青磁、白磁を何度も鑑賞した思い出がある。

「湖岩(ホアム)美術館」近くの風景