先日、行き付けのカフェのコトリに行ったら離れた椅子にドカット座って知人の青龍寺住職が熱心に谷崎潤一郎著の「陰翳礼讃」という本を読んでいた。
住職がコーヒーを味わってる間に拝借してパラパラとめくって少し読んでみたら「日本家屋の美しさは陰翳にある、ほの暗さの向こうに、美しい世界が見えてくる」というような内容だった。
それに美しい写真がたくさん入っていて興味と共感を覚えたので帰宅後にネットで購入して先日から読んで味わっている。
純粋に光と陰の狭間に日本の伝統的な美を見出した著者の谷崎潤一郎の着目点はさすがにすごいと思った。
「陰翳礼讃」の陰影でも良いと思ったが調べてみると真っ暗なのではなく、薄明かりの、ほの暗いといった意味がある。「翳」は「影」の旧字体でないからやっぱり「陰翳」なのかな。
「陰翳礼讃」の世界を理解させてくれた大川裕弘氏の素晴らしい写真の数々に暗がりに潜む美という世界があった。
日本人のプライドを呼び起こしてくれた書物だったというのは少し大袈裟かな。