歴史教科書

2001年5月
   今年に入って韓国のマスコミは日本の歴史教科書について歪曲だ、歪曲だ、とニュースを連日流していましたが5月に入って少し静かになったようです。ただ韓国の一般市民はあまり熱くならず冷静です、デパートの日本の電気製品や食品売場にはカレー、お菓子などの日本製輸入品が多くなっていますし不買運動などの話がありますがよく売れているようです。

 歴史教科書者問題に付いては各方面から専門家の意見が出ていますが実際に何がどうのように歪曲なのか具体的内容の発表はありませんでした、5月になりやっと歪曲といわれている内容が発表になりました。
「韓国東和日報の修正内容の発表参照下さい」

 私がこの修正要求内容を読んで感じることは同じ史実でもこんな見方があるのかと改めて感じました、たとえば秀吉の「朝鮮への出兵」という表現が韓国側からみると「朝鮮への侵略」と書かないのは歴史の歪曲と考えるようだし、また「従軍慰安婦」について記述が無いことも「意識的に関与を認めない歪曲」と写るらしいのです。

 この要求内容に対する日本の反応は「日本の各新聞社の社説を参照」を読むと解ります。右寄りから左寄りの記事までさまざまな日本人の考え方が出ています。


韓外交通商部長官が寺田輝介・駐韓大使を呼んで韓国政府の再修正要求外交文書を手渡した

 この問題には歴史的経緯があり、加害者と被害者の意識差がありますから読売新聞や産経新聞のような「内政干渉」と言って筋論で突っぱねるだけでは済まないように思います。政府、文部科学省はこれまで、「植民地支配と侵略により、アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する」(95年村山富市首相談話)との認識は、忘れてはならない重要な視点です。

 私自身も子供の時に「朝鮮人!」という蔑視感を理由も解らないで教えられました、まだ身に覚えのある方は日本では多いはずです、あのような差別感のあった時代にこの朝鮮で行われた蛮行を考えると身の置き所の無い自己嫌悪を感じます。

 日本軍国主義や日本政府には責任があり、国民には責任が無いという議論には私の心には響かないのです、歴史に対し誠実な態度でいまわしい過去を自らの心に刻むことが必要と思っています。このことを次の世代に教えることがなぜ「自虐的」となるのでしょうか。

 一方韓国のマスコミは日本との過去の話になるととたんに肩に力が入ってなぜ視野狭窄的になるのでしょうか、内容も解説せずに歪曲、歪曲と騒ぎ市民感情を煽り立てます。もう少し冷静に日本の検定システムなど報道できないものかと感じます。また朝日新聞、日本教職員組合、などの主張を日本の正論と見ているような記事が目立ちますがこれも偏っています。

 3月31日に「3・31南伐」と称して韓国の市民が日本の歴史教科書の歪曲を糾弾し、日本の文部科学省や産経新聞、自由民主党(自民党)、新しい歴史教科書をつくる会、産経新聞グループの扶桑社、北海道議会のサイトを占拠した「サイバーテロ」などの破壊・妨害行為に対し容認しているようにも思えます、この件で日本に対する暴力は罪ではなく正義だという考え「反日無罪」があるとしたら大変問題です。

日本政府は明らかな間違い以外は修正出来ないという政府の見解に私は賛成です、しかし韓国側はあくまで日本政府の責任で修正して欲しいと公式に申し入れてきています。
今後韓国の指摘に対して「客観的、学問的見地から精査したい」と政府が述べているので期待したいし、また両国の専門家同士で史実に関する議論を開始するようですから時間がかかってもぜひ相互理解の道を開いて貰いたいと願う者です。

しかし歴史教科書問題が外交問題として存在する以上何らかの妥協案が必要です、専門家でもない素人考えですが中国と韓国からの修正要求内容を副読本のようなものを学校に配布するようなことは出来ないものかと思う、外国から史実を見ればこうの様な歴史認識になることを知らせることは意義あることではないでしょうか。


前へ
前へ
次へ
次へ