独立記念館と柳寛順

2001年5月
  ■独立記念館

5月の天気の良い日曜日に会社の人の案内でソウルから南に高速道路で2時間の天安市(チョナン)にある独立記念館に行きました、私には7年ぶりの3回目の訪問でした。
最初に気が付いたこととして周囲の木々が大きくなり緑が豊かになったことです、また記念館の展示内容も変化しました。特に案内版に日本語と中国語が追加されましたし展示内容も明成皇后の殺害シーンや従軍慰安婦の展示やいくつかのジオラマ模型などが新しく追加されています、全体として巡回し易くなりました。

この記念館の展示は第一展示館から第七展示館までそれぞれ独立した展示場になっています。

第一展示場 石器時代から開港(1910年)まで
第二展示場 近代民族運動、愛国啓蒙運動、義兵戦争
第三展示場 日帝侵略
第四展示場 3・1独立運動
第五展示場 独立軍、光復軍、義烈闘争
第六展示場 在外同胞、臨時政府
第七展示場 朝鮮戦争、経済開発、国力の成長と南北統一への意思

上記からも解る通り近世の日本に関わる展示が非常に多いのです、独立記念館と言うより日帝侵略記念館とした方が展示内容と合うような気がしました。
特に第三展示場には以前と同じ展示で拷問をしている日本憲兵の蝋人形がいくつも展示されていて気分が悪くなるような雰囲気です。また新たに身動きできない箱に入る拷問の体験コーナーや明成皇后の殺害シーンが新たにビジョンシステムとして加わりました、ここの模型の日本人が憎々さを強調しすぎるあまり少しマンガチックになっていたのがせめてもの救いでした。

悠久5000年の歴史と表現します韓国がたった36年間の日本による韓国侵略時代に大きな展示を割くのは現在の韓国人のこの時代に対する意識がいかに大きいものか考える必要があります。

独立記念館 休憩
独立記念館全景 見学してどっと疲れて休む


この部屋の一角に次のような一文があります。
「ここに展示されている内容は文献の考査として関係者の証言など歴史的な真実に立脚して製作されました。過去の不幸な歴史の加害者を許すことは出来ますが決して忘れてはならない事です。日帝の強占期の歴史を展示することは過去の苦痛とその対象を記憶するというのではなく、共に発展的な未来をめざそうという意思の表われなのです」

日本は侵略した方ですか展示内容に関して反対は出来ませんが、感じたままを思い切って言うなら「共に発展的な未来をめざそう・・」であるならもう少し展示内容に工夫があっても良いのではないか、あまりに日帝の残虐さを強調しすぎています。ここには多くの小・中学生が遠足で訪れますから現在の日本に対し偏見を強く刷り込まれるのではないか、また日本人側は韓国側の意思と逆な方に考える人が多くなるのではと心配になります、よく一部の人が反日的な展示を韓国の子供に教育していると反発している人々を過去を忘れた極右者と割り切って良いものでしょうか。

第七展示場もかなり変わりました、以前はナショナリズムを鼓舞するような展示や映像が多かったのですが全体として事実を淡々と展示しているのは韓国の自信の表われなのでしょう。

パンフレット 拷問(パンフレットより
日本語案内(2冊で9000W) 拷問の蝋人形写真
(室内は撮影禁止、パンフレットより)


この記念館のパンフレット日本語版から

■設立目的 「独立記念館は外国の侵略を克服して、民族の自主と独立を守り通してきた我が民族の国難克服史と国家発展史に関する資料を収集、保存、展示、調査、研究することによって、国民の確固たる民族精神と国家感の安立に貢献することを目的とする。1986年8月15日に開館した」

■案内
休館日 毎週月曜日
開館時間 9:30〜17:00
入場料 1600ウオン(大人)
交通 バス利用(ソウル天安行きの高速バス→天安高速バスターミナル→市内バスで独立記念館行き(全部で約3時間半)
乗用車(ソウルから独立記念館インターチェンジ経由で約2〜3時間)


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