珍島の海割れ

 韓国南部の木浦(モッポ)市から車で1時間30分更に南に行ったところに珍島という島があります。ここで「珍島の海割れ」と言われている現象が4月の27日と28日に起こると言う話を聞きさっそく見学に行きました。

木浦(モッポ)市は人口17万人の全羅南道第一の都市でありますが、韓国では朴大統領以来の慶尚道偏重近代化政策が全羅道の人々の被差別感情を激化させたようです。この事が「光州事件(80年5月に軍事クーデターに抗議するデモ隊との市街戦で193名の死者を出した)」につながり、いまだに地域対立が根強く残っています。今年の2月、全羅道出身の金大中大統領が選出され、大統領自身がかねてから言っている「地域対立を無くす」という言葉を思い出しながら市内を歩いてみました。

木浦市は考えていたよりも大きく、人々も明るく活気に満ちた漁業を中心とした町でした。昼食は水産市場に近い食堂でヒラメ、エビ、アワビ、イカ、ホヤ、ナマコ等いろいろな刺し身の盛り合わせをたらふく食べ、それにイシモチの焼き魚とチゲ鍋とビール4本で一人分25,000ウォン(2,500円)でした。ソウルより安かったですね。

 全羅南道西南端の海南半島を抜け、85年に完成した珍島大橋を渡り、少し行くと海岸に出ます。そこから沖に浮かぶ小島までの間、約2.8キロの海水が引け、海の中に道が出来、人々が島まで歩いて渡る事が出来る訳です。これが「海割れ」です。

ちょうどこのあたりの海底が盛り上がっているため年に2回の大潮のときに起こる自然現象ですが、科学的な解釈は無粋というものです。かつてフランス大使がこの現象をみて「モーゼの奇跡」と自国の新聞に発表して以来、広く知られるようになったと言いますが、このほうが神秘的でロマンチックですねs。

 朝鮮王朝時代は流刑地であったといい、多くの文人や文化人が流されたところでもあり、悲恋物語も多く語り継がれている事もこの海割れ現象と重ねあわせると興味深いものがあります。

しかし、現地に着いてみると、人・人・人の波でした。午後6時頃になっていたので既に海は割れ、道はできていましたがこの日は「霊登祭(ヨンドンジェ)」という祭りが海岸で行われていて屋台や見世物などが数多くでていました。音楽に合わせ太鼓と踊りをしながら飴を売る人、海産物を売るアジュマ、餅やトポッギ(辛い餅のようなもの)を売る店など100軒以上がところ狭しと店を並べていました。

売店と人をぬうようにしてやっと島に渡るところまで行ったのですが、とても島まで渡る体力もなく時間もなかったので写真のように沖に浮かぶ島を眺めただけでホテルへ帰りました。

珍島の海割れ

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