ポシンタン

1998/6

 韓国にも梅雨があります。これが開けると暑い夏です。韓国では暦の上で「三伏」と言い夏ばて防止のため3回ポウシンタンを食べる習慣があります、日本ではウナギを食べる習慣があるが韓国ではこのポシンタンと呼ばれる犬肉料理を食べ暑い夏を元気で乗り切ろうという訳です。

 犬肉と聞くと殆どの日本人は顔をしかめますが韓国人も同じように「何でそんなもの」という顔をする人が多いです。特に最近の若い人は食べないようです。しかし国により食文化の違いを理解しなければならないですし、韓国人やイギリス人からみて馬肉を食う日本人は考えられないし、インド人に牛肉は考えられないのと同じでこれは韓国の食文化と理解する必要が有ります。
何でも食べて見なけれ解らないとの気持ちにかられ何回か食べて以来私の好きな食事の一つになりました、最近は時々会社のアジュマ(おばさん)何人かと一緒に食べに行きます。

 ポウシンタンとは保身湯と書く通り、消化も良く栄養価も高いそうで病院から退院する時、医者が進める食事の一つであるそうです。食べてみて柔らかいし美味しい肉料理でありお腹いっぱい食べても腹具合が悪くなる事はないので本当に消化がいいのではと思います。

 ただ韓国では原料が犬肉なので政府は外国人には出来る限り食べる習慣を知られたくないようにしているようで、ソウルオリンピックの時はこの料理を食べさせる店は正面通りから奥に移動させられたと聞いた事があります。

 しかし田舎ではあまり気にしてないようであちらこちらにポシンタン店があります。先日、最近オープンした犬肉を食べさせる食堂に行ってみました。


ポシンタン料理店の前で。私です。

 ここではあらかじめ煮あげた犬肉のブロックが出てきて目の前でアガシ(お嬢さん)が手で細かく千切って鍋の中の野菜の上に載せてくれました。なんでも包丁などの刃物を使うと味が落ちるというのです。


アガシ(お嬢さん)が千切ってくれました。

 野菜はネギ、セリ、ニラ、ゴマの葉です。下から水を沸騰させ湯気を通し野菜と肉を暖め野菜と共にタレを付け食べますがこのタレはゴマと唐辛子の粉、生姜、ニンニクを油で混ぜたもので柔らかい肉の味を引き立てています。


これが「ポシンタン(犬肉)鍋!」

 
 ここのポシンタンはサチョルタン(季節湯)とメニューにあり、ポシンタン(保身湯)、ヨンヤンタン(栄養湯)、と三通りの名前があるようです。ここの店はの価格は一人前20000ウオンで高い方でした。

 韓国人とポシンタンの歴史につきお店のアガシに聞いてみたが詳しい事は解らず何でも朝鮮時代から食していたらしいと教えてくれました。とするとあのハングル文字を作った世宗大王も食べたのかとふと思いました。

 私の住んでいるアパートから山が見えます。毎朝6時ごろ沢山の犬の鳴き声がします。山の中に屋根が見え隠れするがあそこが食用の犬を飼育しているのではと見当付けています。先日の朝、思い切ってその山に行ってみましたが途中道が細くなり一軒の家の前に大きな犬が2匹繋いでありました。私の姿を見て盛んに吠え掛かって来たのでそれ以上進めずすごすごと引き返してきましたが、今度、韓国の人と一緒にもう一度見学したいと思っています。

 ちなみにポウシンタンの料金は一人前約15000〜20000ウオン(為替は¥100=W1000)であり、カルビと同じ値段であるからかなり高い料理です。この店にはアガシも多く食べに来ていたから、顔をしかめてはいても、体に良い食べ物ですから韓国人が食べていて、隠れポウシンタン党が多い事は間違い無いと私は見ています。

 私は現在ポシンタン党になり毎月1、2回は食しています、だから韓国滞在中は極め元気(?)で過しています。


前へ 次へ
前へ 次へ

TOPへ