リストラ

98年1月

昨日も今日も雪が降りました。今年はいつもより雪の日が多いようです。気温も朝は零下10〜15度くらいになりやはり私が住んでいる大田原市より寒いです。

韓国の経済はこの寒さで余計寒々した感じになっています。IMF体制になりウオンの下落によりガソリンが約20%アップし1200ウオン(150円/L)になりました。バス代、タクシー代、地下鉄代、などの値上げがあり、そのほか輸入原材料が約50%くらいアップしていますので各社とも原材料の確保が大変です。

韓国経済は一時的かもしれませんが、かなりの勢いで縮小しつつあるようです。特に中小企業では受注減および銀行の貸し渋りのため資金的に苦境に立たされています。

私が支援している会社は、中小企業であるのでもっとキビシイ感じにあり、大幅な経費削減を断行しつつあります。日本人からみると少し極端な対策のようで、いかにも性急さを好む韓国人らしい内容です。

対策の主な内容
  • 組織の縮小:工場長は常務が兼任とし、5課を3課にする。
  • 人員削減:約20%削減
  • 賃金:ベースアップ、ボーナスは無し(今年になり韓国中小企業の50%は支給していないようだ)
  • その他
    1. 社長用専用運転士の解任
    2. 課長以上に支給していたガソリン代120L/月をストップ
    3. 照明、暖房用オイルの削減(設定温度16度C)
    4. 電話回線の削減、学費支援の中止など
しかし、韓国の庶民の愛国心はすごいと思いますね。国が大変のときだから協力する姿勢があります。現場のアジュマ(おばさん)の話では自分の家にある「金」 -子供の一才の誕生日に親戚から金の指輪をもらう習慣があります - 、この「金」はほとんどの人が売ったのだそうです。銀行に持っていき現金が入るのは3ケ月後で、最近の新聞によれば韓国全体で1億ドルになったようです。

先日、毎月一度の全体朝礼で次の内容を国旗の前で全員で唱和していたのを目撃しました。

私は誇れる大極旗(韓国の国旗)の前で祖国と民族の永遠の栄光のために体と心を捧げて忠誠を尽くす事を固く誓います」

アジュマも手を胸にあてて大きな声で叫んでいるのを見て、私は驚きとある種の感銘を受けたことを思い出しました。従業員全体が堪え忍ぶ姿勢がありますので、この会社の苦境からの脱出は意外に早くできるのではないかと感じています。

朝礼
毎月一度の全体朝礼

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