直接加工費の計算

2000年2月

1月からベースアップが有りました、過去2年間昇給無しボーナスカットで皆さん頑張って来ましたが昨年末からの輸出の増加と国内経済の回復のため対前年同月比で約80%アップの操業が続いています、このため平均10%の給与アップを実施出来ました、本当に良かったと思います。

1月の末になると年休手当てが支給されます、この年休手当ては有給休暇を使わなかった分を会社側が現金で補償するものです、日本の組合が喜びそうなシステムでこんな所にも60年代の労働運動が激しかった頃の要求が法律で決められています。

* ここで原価計算のベースになる直接加工費を私が知っている範囲でまとめました。 [1000ウオン(W)=910円(2月現在:為替レート)]

韓国でも財閥系の大手会社から社長と奥さんの小さい会社までさまざまです、またソウルと地方では賃金差もあります業種によっても違いが有ります、田舎にある120名の製造業の数字である事を頭に入れて参考としてください。


1.直接人件費

1.直接部門
日本のパートタイマーはおりません、短期的にはアルバイトという形になります連続3ヶ月以上勤務する場合正社員として採用する必要があります。
男:初任基本給 21,000W/日=630,000W/月
女:初任基本給 15,000W/日=450,000W/月
基本給は日給で決めて30日稼働日として計算する、休日は有給として考えるから日給月給制のようなものです(ソウル付近ではこの数字の20〜30%高いのではないかと思います。) この基本給を基準に次のような内容で直接人件費の計算が出来ます。
項目 計算内容 備考
1.日給
これが基本数字
2.基本給 日給×30日
3.職位手当て 班長=2万W〜3万W
4.賞与金 (A+B)×5/12 500%を4回に分けて支給
5.通常手当て 5千W〜3万W 資格と勤務年数による
6.生休手当て (A+B+D)/30 女性だけの休暇未使用の保証
7.其の他手当て 33000W/1名 家族、配偶者、子供
8.残業手当 (A+B+D)/30 残業:1.5倍日曜出勤:2倍
9.月次手当て (A+B+D)/30 月の有給休暇未使用分の保証
10.年次手当て (A+B+D)/30 年間10日/12月の保証
11.退職給与充当金 (A〜I合計)/10 退職金積み立て分
法定福利費
1.医療保険料 (A+C〜Iの合計)×2.5%
2.国民年金 (A〜I合計)×4.5%
3.災害保険料 (A〜I合計)×0.553% 会社により変わる
4.雇用保険料 (A〜I合計)×0.9% 120名の規模の場合
上記の合計が月額直接人件費になります。
2)間接部門
一般社員基本給 760,000W
代理(係長) 970,000W(30歳〜35歳)
課長 1100,000W(35歳〜40歳)
部長 年間契約 3千万W〜3千5百万W
理事(役員) 年間契約 5千5百万W〜6千5百万W
間接部門の手当ては下記の項目以外は直接部門と同じです。
1.職責手当て 8万W〜12万W 代理以上
2.時間外手当 7万W〜15万W 月25時間ぐらいに相当

2.直接経費(福利厚生費、交通費、消耗品、水道、電気、食堂、其の他)

直接経費=直接人件費×30%〜60%(下請業か開発部門まで持つメーカーかで比率が変ります)
* 電力費(産業用乙高圧A基準=1000KVA以下)       基本料金:2百万W  使用量金:55.5W/1Kwh

3.加工費率

結論として中小製造業の時間当り加工費は1100円/H〜1600円/H位です。部品加工部門や開発部門のある企業はもう少し高く1900円/円位になるようです。

5.其の他

1.原価償却費
建物:40年  構造物:10年  車両運搬具:5年  什器備品:5年
2.日本からみて従業員への少し変った経費
  • 中・高学校の学費支援
  • 盆・正月の従業員への記念品代
  • 有給休暇未使用への補償金
  • 生理休暇未使用への補償金
  • 課長以上全員へのガソリン代支給(120リッター/月)
  • 役員への乗用車の支給とガソリン代の支給
経済危機時以降一時無くなったがまた復活してきた経費ですが最近は年俸制への切り替えが日本より早いスピードで進んでいます。


経営スタイルの変化へ

韓国式接待へ