2002年2月

中国市場への販売のためには現地の同業者の動向を調査する必要があると考え、社長に同行し上海・温州・常熱・無錫周辺の電機機器企業の工場見学や幹部との懇談をして来ました。5社を見て来た範囲で電機機器業界に関する感想を纏めてみました。

 
◆1. 受配電盤機器は欧米企業が早くから進出しているので製品仕様はIEC規格、デザインも欧米系になっている。
◆2. 中国企業の開発製造能力は想像以上に進歩しつつある、質の改善に力を入れている点が今後の課題と感じた。
◆3. 世界の最新設備があり現状は使いこなしているとは思えないが1〜2年で相当な威力になるであろう。
◆4. 外資との提携は積極的であり日本や欧米からのエンジニアの受け入れも希望している。
◆5. 中国製は品質が悪いとよく聞くが生産量の10〜20%を東南アジア・中近東にすでに輸出している。
◆6. 次世代の商品開発を考えている、欧米に開発センターを設立しようと準備している企業もある。

今回訪問した民間会社はいずれも10年〜15年前の創業で最近急速に事業を拡大している企業であり、開発・製造・管理の中身は多少のアンバランスはあるがこれも今後急速に改善されるでしょう。各企業で対応してくれた幹部はいずれも工場は自由に見せてくれ写真撮影もOKでした、自信があるのか、企業秘密という概念が無いのか、とまどってしまいますが、これは日本人特有の島国的感覚かもしれません。

「中国は広い・・まだまだ拡大します、韓国製品もどんどん売ってください」という話や温州の大企業の董事長いわく「今度温州で正月に展示会があります、我社では30コマ準備しているので一コマ提供するから大陸会社の製品を展示しなさい」と進められたのにはにはびっくりでした、早速展示させてもらうことにしました。

激動期における中小企業の生き方は「社内の現状に妥協せず、独自性とユニークさ」が必要です、あとは誠実・熟慮・断行です。
小型遮断器の組立、一人作業・300人で日産10万台 遮断器組立てラインの搬送装置
この会社の従業員は1500名、開発要員40名で、配線用遮断器(MCCB)の生産金額は年間160億円(内60%はMCB)です。
遮断器の特性試験です、カバーを掛けなくても
問題 ないとの返事でした。
信頼性試験室は一応の設備がありました、上記は
ガラス越しの20KAV遮断試験設備です
次ぎは上海から車で1.5時間の所にある受配電機器工場です、ここには新しいプリント板表面実装装置や新鋭金型設備がありました国営企業から完全に私営になったのが2000年ですから設備などは日本からのODAの産物かと穿った見方も出来ましたが・・。配線用遮断器の生産量は年間32億円、従業員は1350名、平均月賃金は2000元(30,000円)で他社と比較し2倍ぐらい高かったが本当かどうか疑問でした。
日本メーカーのSMTラインでMCCB用のIST
可調整プリント基盤を作っていましたが・・・??
最新鋭金型設備です、放電加工機11台、ワイヤーカット
機5台ですが稼働率や作っている物はいまいちでした。
組立て作業台です、数年前の我社の
物作り方式と同じでした。
コンベアーが運搬具になっていますが、このような
組立て方式も今後改善されるでしょう。
レザー光線で三相接点間の開脚距離を測定してました。 最終の特性試験室内です、すべてバッチ処理
設計室内部、73名の人が働いています、次世代
商品の開発に力を入れているようです(昼休時間)
新工場の完成図がありました、2002年末には
稼動させる予定です(広さは6万坪)。
中国製機器を使用している配電盤製造工場を見学したがその規模の大きさと板金・塗装・組立ての設備に感心しました、ただ試験設備に関してはまだ相対的に貧弱であった。(従業員は500名)
この配電盤会社は500名、年間5000面を生産して
います。使用している機器類は真空遮断機器(欧米との
合弁製)以下全て中国製でした。今大変忙しい様子
で正月前でも一部で生産していました。
中国製キュービクルです、外部に置くのでこの様な形
が良いらしいのです、前方に日本製が有りますが少し
不細工な感じかも知れません。

 


■参考
    韓国から見た日本の対中国関係
日本のビジネス関係の書物を読むと中国は大きな話題となっている。少し前まで、あちこちで聞かれていた「中国警戒論」はなりを潜めた。警戒ばかりしていてどうするのかという問いに何の回答も与えられないからだ。急浮上している中国経済の実体を認識しこれを日本に有利に用いようとする「中国活用論」が今や大勢をなしている。
もちろん一部農産品で貿易摩擦をかもしてはいるが、日本の基本的立場は韓中間のニンニク紛争のような前轍は踏まないというスタンスのようである。

日本の大手企業の中国進出は一つひとつ紹介できないほど広がっている。ただ単に安価な賃金を狙ってモノを作るレベルではなく、研究開発はもちろん、企画や営業総括の機能をすべて中国に移しつつある。

中国人を見る日本内の見方も変わった。書店での中国関係の書物は韓国関係を上回っているし、東京ディズニーランドや大阪のユニバーサルスタジオには、日本語、英語に続き、中国語の案内放送が流れている。伊豆半島の温泉街では従業員が中国語の会話を学んでいると聞く。中国人を顧客として迎える準備が整っているわけだ。 これに対して、韓国への関心と熱気はワールドカップのカウントダウンが始まった今も盛り上がりに欠ける。事実上、中国への関心の高まりは、韓国が日本の視野から外れつつあることでもある。
  ■賃金比較
    1999年度の日本と中国の製造業の月当たり平均賃金を比較すると、日本315,731円(日経連調べ)に対して、中国9,743円(1元15円換算)、格差はおよそ33倍である。(中国はILO「Yearbook of Labour Statistics 2000」)。

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