2001年11月

10月度に於ける韓国での日常活動の内容を日記風にまとめてました、内容からも最近は
技術関連の仕事が少なくなったようです。

[12日]

  本日、私が関係する会社が韓国電気新聞社主催の授賞式で中小企業庁長官賞を受賞することになりました。受賞の理由は輸出への貢献でした。私も出席して欲しいとの社長の依頼でホテルでの授賞式に出席しました。そこでの光景です。

最初に出席者約400名が全員起立し国歌がながれます。この時司会者から「私達は大極旗(国旗)の前で祖国と民族の永遠の栄光のために体と心を捧げて忠誠を尽くす事を固く誓います」とのナレーションが流れます、そのあと国のために命を落とした人に黙祷してから授賞式が始まりました。

民間の行事でもこのような光景は必ずあるようです。日本人と比較すると国旗や国歌に対する気持ちに大きな差が有ることがわかります、韓国人の強烈な愛国心はこのような光景からも理解できますが、日本の現状と比べ何か複雑な気持ちを持った式典でした。

式典後のディナーではフランス料理をご馳走になりました。韓国ではこのような式典の場合でも出席者のチェックはしません、私の隣の席が空いていましたが社長の運転手がチャッカリ来て食べて行きました。以前出席した結婚式の後の会食でも同様にチェックはありませんから誰が来ても食事ができます。韓国では時々このような大らかさがあります。


 

[16日]

 

国内電気機器展示会が今日から4日間ソウルで開催され、さっそく第1日目に見学に行きました。昨年の展示はただ製品が並べてあるだけで何をお客に訴えようといているのか解らないとの酷評しましたので今年はどうなのか興味があるところでした。

スペースや展示位置は良かったが色彩が全体として地味な感じでした。

内容的には会社のアピールや動作見本などに工夫が見られたが他社が一般見学者向けなのに対し我社は製品を使用するエンジニア向けの展示内容であったように思います。

派手さがなく社長の趣味には合わないデザインでした。

国際化商品・新製品・などがテーマごとに配置されオプションは使用実例などが展示されて改善のあとが見られます、だた韓国特有の派手さがなく費用の掛け方に工夫が必要でした、オーナーの社長が見て他の競争メーカーと比べ地味であることに大変怒ったそうです、他社と比べて展示が見劣りする、何故もっと工夫できないかということでした。しかし私に言わせれば何故もっと早くから計画をし予算を与えなかったかという事になりますが、結果が重要でそこまでの過程はあまり議論せずに「申し訳ない来年はもっと良くします」で終わってしまいました。

 

[17日]

 

販売担当者のインド・台湾への出張報告があり社長と共に聞きました。中小企業でも世界にどんどん出て行きビジネスアタックするこのグローバルな行動にはいつも驚きます。
インドの会社の報告に興味がありました、インド(ニューデリー)賃金は50US$/時間でベトナム並みです、インフラもベトナムより良いし今まであまり情報が無いところでしたので今後調査の必要が有ります。

遮断器の販売が期待できますがスペック的に遮断容量をアップしなければならず直ぐには販売出来ません。社長いわく[設計製作をインドに依頼したらどうか?]でした、これを現実離れした命令と取るかまたは発想を変えろと取るか工場の責任者は悩んでいます。私は先方にアタックし可能性を調査すべきと助言しましたが・・。

 

[18日]

 

工場現場の巡回でラインの今月の品質データーをチェックすると、時々3%前後の不良が発生しています。原因を調査すると部品(ハンドル)の寸法バラツキによるものと解りました、対策を聞いてみると外注に注意しただけとのこと。

こんなことでは再発防止は出来ない、いつも言っているナゼ、ナゼを繰り返し真の不良原因を追求せよと強く指示しました。本件に関しては再確認が必要であり、場合によっては生産しているプラスチック成形外注会社まで行かなければと思っています。

 

[19日]

 

日本からのお客様と1日中の打合せでした。
商品の開発製作依頼がありターゲット価格がこちらの見積もりに比べかなり厳しいものになっています。今後の拡大に期待して製造原価に近くても受注すべきであると進言しましたが、オーナーから今年の販売量は昨年並みでもやむを得ないが利益はキープせよと厳命されているらしく、苦慮している様子です。私の過去の経験では製造業は生産が継続できれば工夫次第で年間10%のコストダウンは可能であることから、未来コストを考えて受注せよとアドバイスしたがどうなるでしょう。
製品の輸出価格に合わせた特別な価格の交渉でした。このような会議の場合私の役割はお互いの考えが理解出来るように説明することです。価格の最終決定権は当事者に委ねることに徹することにしています。

国内価格と輸出価格では20%前後の価格差があることが一般的で韓国でも同じように輸出特別価格があると耳にします。継続的な生産物量があれば工場原価プラスアルファーでも固定費削減には有効である。

 

[19日〜20日]

 

韓国に駐在する日本の友人夫婦が日本に帰国することになったので本日の土曜日は送別会となり、夫婦2組と私の5名がヨンドンポの駅に集合しまずここにある市場の見学をしました。韓国の市場はどこに行っても活気があります、衣服、雑貨、電器製品、家具魚介類、などに混じって犬肉も出ています。犬がそのままの姿でごろごろと丸裸で並んでいました、英国の動物愛護団体の非難のホームページもありますがこんな姿をじかに見たら卒倒してしまうでしょうね。

午後はちょうど毎年開催される韓国駐在外国人のお祭りがソウルの子供公園で開催しているというので見学することになり地下鉄駅を降りるとすぐ公園です、入り口付近に警官が目立ちます、やはりテロ事件による影響で外国人が集まるところで何かあると大変との政府の考えが厳重警戒になっているようです。

各国の民族紹介や観光紹介と模擬店が出ていました。日本は沖縄県が担当だそうです、模擬店のウドンが1000ウオンで人気でした。沖縄の太鼓を使った民族踊りもテンポもよく良かったですね、各国の民族の伝統的な衣装や踊りをみてアジアは一つだなと感じました。友人が正式な韓国定食を食べたいというので別の友人が予約した高級食堂に案内してくれことになった。

 

[22日]

 

中国を訪問することになりました。いくつかの会社訪問と中国規格取得の申請が主目的です。私の直感では中国製の商品とは価格的に競争力がないはずでしょうから、韓国製は日系企業や中国企業の輸出向けに売り込み出来ないか調査するつもりにしています。ホテルや訪問企業との調整は意外に時間がかかり大変です。

現場巡回中に作業しているアジュマ(おばさん)との会話が大変ですが面白いし韓国語の勉強になります、今日はアジュマのリダーが機械の調子がおかしいので診てくれと言う、スタッフに修理依頼したがなかなか来ないと怒っているが私には直せそうもないので早く修理するように工場長に電話する。

 

[26日〜11月3日]

 

中国旅行に関しては別項に「中国ビジネス」としてアップしました、今回の旅行は海岸部の都会が多かったのか今回の旅行で今までの中国のイメージが一変しました。5年間前の中国のイメージを固定的に考えていたのでは中国の現状は理解出来ないのではと感じました。
食事の時日本・韓国の音楽を弾いてくれた。
食後のフルーツもこんな風に出てきた。

販売調査旅行の総括として商品販売にはいくつかの大きな壁があることが解りました。

壁があっても大きな魅力ある市場であることは確かです。だから販売の第一歩を踏み出すのです。この点、我が中小企業の行動力はよく言えば挑戦的で活力があります、悪くいえば無謀(先が見えなくてもともかくやってみる)とも言えます、結果で評価する以外ないです。

 

[11月5日]

 

開発担当のエンジニアから相談を受けました。高遮断容量の遮断器を開発のため日本の一流メーカー品を購入し韓国の電気用品試験所にてテストしましたら3台とも接点が溶着し遮断不能でしたとのこと、この原因究明と設計中のメカニズムに関してどのように考えるかという相談です。この遮断器の銘板には460V、65KVAとなっていましたがこれは看板に偽りありということで日本製の品質もこんなものかと驚いてしまいました。韓国の若いエンジニアの質問に対し説明に窮するが今後の開発の参考となる重要なデーターが得られたということも言えるでしょう。

遮断試験で表示通りの性能がなく遮断不能になった日本製の遮断器です。中間相の可動接点と消弧室が溶着しています。

日本製でもこの通り駄目だからこの開発は難しいですね、と韓国の技術者は言いますが私はこの日本製の実力には誠に恥ずかしいかぎりです。


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