2002年12月

重工業関係会社のプロジェクトの技術指導に来て1.5年間過ごし最近帰国した友人から韓国での仕事を総括した手紙をいただきました、内容を要約し「韓国で仕事をする時の留意点」としてまとめました、私の感想は思い当たる内容もあれば多少違和感のある内容もありましたが友人が実際に経験した事をまとめたものですから韓国の一企業の側面でもありますので参考になればと思い掲載しまします。

文中の「韓国は」と言う表現は正確には「韓国の重工業関係の一企業」という意味になるかと思います。韓国企業の中には世界的にもその商品が認められている企業も多くあります、また私の関係する会社とも同じではありませんし、また逆に私の知っている日本企業でも一部似たような状況があることも事実です。

 


■韓国で仕事をする時の留意点

  韓国企業の考え方、行動
    1.勝手な行動が許される。
      打合せで決めたことでもその後良いと思えば連絡せずに変更する。計画はあまり重要でなくその時その時に決めていく。日本人の約束重視を疑問に思っている。「韓国人は嘘つき・日本人は融通が聞かない」
    2.基準には縛られない。
      基準から外れても実害が無いと判断するとどんどん変更して作業を進める。
    3.品質は直せばよい。
      作業はスピードを重視し結果的に不良が出たときはそこだけ直せばよい。また多少の不良はしょうがないと考えている。
    4.作業工程優先
      「客から品質も大切だが納期を考えてくれ」といわれれば品質確認のために納期を遅らせることはしない、つまり品質第一でなく納期第一である。
    5.責任を自分にはしない。
      不良が出ても「私が悪かった」とは言わない。必ず他に理由をつけて言い訳をする、でっち上げが多いので注意が必要。責任感が無い、管理責任は問われない。
    6.組織的行動はしない。
      個人の力量で判断し決定(行動)してしまう。周囲の仲間に協力はしない、但し上司の命令には絶対従う。
    7.作業者のモラルが低い。
      自己中心で他人や次工程の事は考えない。管理者も放置している、品質意識が乏しい。
    8.物事をはっきり言う。
      相手の立場や気持ちを考慮しない、必要な時は相手を傷つけるような言葉で強く主張する

 


■日本側の対応

    1.品質グレードを下げる。
      品質は各作業工程の中で作り込まれて行くので、日本式のきめの細かい品質管理をしない韓国流の中ではグレードを下げざるを得ない。「信頼性」という言葉は韓国に無い。
    2.韓国向けの検査方法が必要。
      目標品質に合った合理的判定基準に変える必要がある。日本の検査基準は目先の合理性を追求する韓国には当てはまらない。
    3.日本人による作業中の管理が必要
      作業者の低いモラル、ずさんな管理では重要工程の作業に責任が持てない。
    4.韓国側にものを言うときははっきり言う。
      「〜した方が良い」とか「〜することを検討して下さい」などは曖昧表現で韓国人には良く理解できない。「〜を要求する」「〜をしなければならない」「〜では駄目」とはっきり言い切る必要がある。韓国側が守らない時は強く何度も繰り返し言う、文書で上層部に話を上げると効果がある。
    5.全てを疑って対処する。
      会議で合意しても現場では実施されないことが多い、常に現場をチェックする必要がある、金と時間が掛かることは基本的に実行されない。

 


我が社では勝手な判断は許されないがホウレンソー(報告・連絡・相談)が不足しているとか、自分の失敗は認めないなどは経験済みです。上記会社はかなり問題企業かもしれませんが内容的には60〜70%はそうだなあーと思いますね。

 


なぜ通路に並べるのか?
修理はラインでやるな!と言っても止まらない

 


「個人の判断で行動する」「納期が優先」「組織的行動が無い」「主張が激しい」などは私も経験しています、しかし同じ規模の企業同士で比較すれば日本のほうが全てに於いて優れているとも思えません、「スピードが遅い」「管理者が判断しない」などは日本の会社でも問題があるところです。

 



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