2001年9月

中小企業といえど一社で全て生産することは出来ませんから協力会社が必要です、中でも中核となる組立専門の会社が必要でしたので指導育成してきましたが最近の事件には大きなショックを受けました。

外注先から入荷した小型遮断器の受入試験で動作不良の製品が約5%発生したというので、中身を調査してみると内部の部品がカバーに接触していて動作出来ない状態になっていました。なぜこんなものが納入されるのか不思議に思い関係者に聞いてみましたがなかなかはっきりした理由がわかりません。すぐに確認できないと落ち着かないのが私の性格ですから直ぐに外注先まで品質保証部長と出かけました。外注先で組立工程を調査して驚きました!

加工工程が当初と違うのです!カバーをかける前に完成品試験をしていました。むろん作業標準書とも違う加工工程でした。外注先(従業員18名)の若い(40歳)社長の話を聞きまた驚きました。


私と外注の社長の一問一答です。
Q: カバーを掛けてからなぜ試験をしないのか?
A: カバー掛けた後の試験では不良が多く出てまたカバーを開けたり閉めたりしますと修理に時間が掛かり無駄です。
Q: それでは完成品試験では無いではないか?なぜ不良の対策しないのか?
A: でも今までは不良はなく問題なかったです、最近不良が出て納期遅れになるので変更しました、会社の担当者が来ても何も指摘されませんでした。

不良が多かったら不良の原因を調査し対策するのが基本だよ!いったい誰が工程変更を了解したのか?作業標準も最初の通りで変わってないではないか?作業標準と違う作業していることをどう思っているのか!!

「品質第一と口では言うが現実は納期第一になっている」私1人が怒り狂っている感じで・・思わず落ち着いてと自分に言い聞かせ、まだまだ品質保証の基本を徹底しなければと思い暗い気持ちで帰りました。

この会社は過去何回もいろいろ指導してきましたがなかなか成果があがりません。この会社のオーナーはソウルに在住し不動産関係の事業をやっているらしく、従って製造業はわかりません。全くこの会社の運営にはタッチしないようで投資に見合う収益があれば良しという、経営者でなく投資家といった方がピッタリの感が否めません。従って現場監督者には無理な要求が有るのみです。このような経営形態の中小会社がこの周囲には多いように感じます。

もう一つの理由は日本人より許容範囲が広い人が多いのではないかとかねがね思っています。下記の写真を見ても細かいことにあまり気を使わない人が多いのです。ここは田舎ですからソウルのような都会人と感覚が違うかもしれませんが見方を変えると包容力の大きい人が多いのかもしれません。

エレベータの記号? ■アパートのエレベーターの中です、朝の出勤時に本日定期点検の張り紙がありました。

会社から帰って来てエレベーターに乗り7階のボタンを押す時気が付きました、「1」が「矢印」になっています。なぜか不思議に思い賄いのおばさんに聞いて見ましたら・・・
「ラベルが無かったから持参したもので間に合わせたんだよ、いつかは直るよ、気にしないでいいよ」と言われてしまいました。

舗道 ■町の道路が広がり歩道が完成しました。これで歩いても安全だと思いましたが・・・。
途中マンホールのところが写真のようになってしまいました。かえって夜間などは危険ではないでしょうか・・・。予算の関係かも知れないが1年経っても変更する気配はありませんでした、自己責任で対処せよと言うことかもしれません。
土管 ■下水道の拡張工事が始まりました、直径1mぐらいの土管の連結は現場でコンクリートを流して固め写真のように連結しする方式でした。

まだ硬化しない時期に一部を加工しますが写真のようにどうしても隙間ができます。

この隙間に発砲スチロールを挟んであったのでとても気になりました、このような接続は日本ではどうするのか解りませんが・・この後モルタルで隙間を埋めてしまえば問題ないのかもしれません。しかし私には気になるのです。

今まで中核外注として育成指導してきましたがこのような実態では将来ともと取引する訳には行きません。外注先の変更を検討するするように助言しました。

一ヵ月後良い外注が見つかり取引したいので見てくださいと工場長からの話があり、早速見学しました。この会社はオーナー自身が工場で働いているようです、従業員28名、年間売上高:30億ウオンの規模で他社の商品を生産していました。

外注
新規取引先候補の工場内部

工場長は私のいる会社に勤務していた人でした。生産している商品は競争相手の遮断器で部品は外注し組立て主体の工場でした。部品の受入検査や工場の品質保証体制は今までの外注会社に比べレベルが上でした。

なぜ最初からこのような外注を使わなかったのか、聞いてみると先方が仕事が十分あり引き受けなかったが最近の経済状況から親会社の発注先変更で仕事がなくなるので急に取引を希望してきた様です。競争相手の数量や納入価格などすべて教えてくれました。また製品の作り方や設備は全てわが社と同じで企業秘密などは全く意識してないような状況でした。

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