■敦煌(夜行列車・鳴砂山・莫高窟)

 

◆夜行列車
   トルファン駅に向かう途中は月明かりの中の砂漠と遠くに見える小さな光だけだ。しばらく行くと暗闇の中からトルファンの駅舎が浮かび上がった。町から50qも離れたところに駅が有るのは何故かたずねると強風から列車を守るため山沿いに作ったのだという説明だった。

 夜行列車は定刻通りに出発した。今回の旅行では飛行機も列車も以前の中国にあったような交通の不確定さはなくなっています。中国の近代化のスピードを感じた。

 深夜、暗闇の中を旅人の夢を乗せ、一直線に駆け抜ける夜行列車には時代を超えてロマンが漂います。部屋はコンパートメントで定員4名、2段式でした。ただベッドにカーテンが無いので上から下の様子は全て丸見えになってしまう、他人同士だと多少不便だ。洗面所、トイレもまあまあ合格点だ。酒を飲んで耳栓をしてベッドに入る。朝の6時起こされるまでぐっすり眠った。お陰でベッドから落ちた人の話やお酒の勢いで車掌から掃除用モップを取り上げて手伝った話などは翌日しばらくたってから笑い話しとして聞いた。

 

夜行寝台列車の通路
内部は4名部屋で2段ベット
洗面所もトイレも綺麗で快適
車掌さんも美人で愛想がいい

 

◆鳴砂山
   敦煌の鳴砂山はこまかい砂の山で女性的な優しい凌線に風紋を描いる。鳴砂山のふもとの月牙泉までラクダで行きました。ラクダに乗ってミニキャラバンのように一列になり山に登る姿は映画で見た商隊の姿と重なり、シルクロードを旅しているという気持ちにもなった。砂漠の中の三日月池が風が砂を山頂に吹き上げるため、昔から池が砂に埋まらずまた水が枯れもしません。この不思議さが人に崇められるのかそばにお寺が建っています。しかし池の隣では砂スキーやアーチェリーをやっており観光地のもうけ主義化の波がよせている。人工池の傍には朽ち果てたトラックのようなものが捨てられていたのを見たがいつまで今のこの美しい景観が保てるのか砂山を見上げながら不安を感じた。

 トイレに行く事になり女性ガイドが案内してくれた。男性は右にあります、女性は私と一緒に左側に来てくださいと左右に分かれた。男性群はラクダ用の建物の裏側にあるというので行ってみるとラクダの糞の山だけしかない、やもうえずそこで用足ししましたが、後で聞いてみたら女性たちも青空トイレだったようだ。中国で4日も一緒に旅行すれば皆家族同然だ。

◆莫高窟
   莫高窟へ向かう日の朝は晴れていたが風がとても冷たい、敦煌の街を離れるとポプラ並木の両側に畑が続いている。バスの窓から綿花の収穫が終わり枯れ枝を集めて女達が働いている姿を眺めながらガイドの話を聞いた、昨年と今年は綿花の値段が良いので農家の収入は良いのだそうだ。最近はビニールハウスで野菜の栽培も始まったとかで、ここの農業も近代化の波が押し寄せているようです。しばらく走り飛行場の近くを右折すると両側は砂漠になった。砂漠の中にあちらこちらに小さな山を見ることができる、これは全てお墓だそうだ、広いので何処に埋めても良いことになっているらしい。直線道路を15キロほど行くと右側の山の壁に点々と洞窟が見えてきました、これが世界的に知られている貴重な文化遺産であり「砂漠の画廊」といわれる莫高窟だった。

 莫高窟は366 年頃から14世紀頃までに約1000窟が掘られたというが現存するのは約半数の492窟です。莫高窟9層前にて集合写真を撮り専門の日本語ガイドの話を聞きました。莫高窟内部は撮影禁止で入場前にカメラ・ビデオは全て管理事務所に預けなければなりません。また毎年公開する窟が変るので全て観るのはなかなか出来ないようだ。

 私達は公開されている窟の中に入り説明を聞く暗いのであらかじめ準備した懐中電灯を全員で照らしながら話に耳を傾けた。275窟の高さ3.4mの弥勒菩薩、328窟の7体の唐塑像、45窟の唐時代の仏像、249窟の遊牧生活の壁画、320窟の飛天の壁画、仏画は説明を聞くだけではなかなか理解出来ないが塑像の方は、ギリシャの影響が、隋、唐と時代を経過して中国化していく様子や、日本で見る仏像と共通性があるのでルーツを感じた。

 この窟全体の発見の契機になった17窟も見学でき多くの教典が入っていた穴が側面にあった、井上靖氏の小説「敦煌」の最後に主人公の趙行徳が3人の僧侶と経巻を穴に入れ最後に般若心教の写経一巻を入れたときの情景が浮かんできた。その時から1000年以上の時間の流れを思いつつ多くの仏像や壁画の色彩の鮮やかさに感動した。

 

ラクダに乗って鳴砂山へ
風も無く天気も良いのになぜかマスク??
夜店でなにやら相談・干し葡萄を買う
横断幕を広げで・・これを「お仕事」と呼んでいた
映画・敦煌のセット場で仮装しました
足マッサージ・1時間半で3000円でした

 

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