北朝鮮はなぜ軍事行動を続けるのか? 1945年以降の北朝鮮史を新たな史料をもと解りやすく解説している。金日成・金正日はじめ貴重な写真や図表を多数収録。という紹介があったのでインターネット予約しておいた書籍が昨日届いた。
「主体思想」とか「先軍政治」などの言葉は以前から知っているがなぜ今まで北朝鮮の政治体制が継続して維持されているのか素朴な疑問があった。
この本を読んでも上記疑問が解ける訳でもなかったが少なくても北朝鮮がどのような経緯で誕生し1960年以降金日成唯一体制が始まり、首領中心体制が維持されいるのかの状況把握には役立った内容である。
世界の情報を遮断した中で南北の分断による朝鮮半島の緊張状態や首領ー党ー人民の一心団結、集団主義などは最高指導者の権威を増大させて現体制を維持させているのではないか。
我々から見れば貧しい生活の中ではあるが、一般大衆はそれなりのあるレベルの平等があるのではないか、無償教育、無償医療など配分条件で均一性があるのが体制の維持を下支えしているかもしれない。日本のTVで放映される貧しい情況は事実だろうが、比較対象がなければそれなりに現在の生活状況に大多数の大衆は納得しているのかもしれない。
いずれにしても日本の戦時中の生活を思い浮かべれば理解できる。北朝鮮指導部が発表する内容は大衆の盲目的な信仰にも通じる情況があるはずである。
体制維持のためにはこれからも時々は緊張を生み出すだろうが南北の戦争にはならないのではないかと思う、いやそうなって貰いたいのだ。また北朝鮮情勢は西側の一方的な情報だけでなく複眼的な考察が必要であると感じた本だった。
【北朝鮮の基礎データー(2008年)】
・人口:2405万人
・一人当たり国民所得:1065万ドル
・経済成長:3.7%
・輸出額:20.6億ドル
・輸入額:35.7億ドル
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