感情的な対応は控えるべき


ソウル大学の国際会議室で、韓日民族問題学会主催で両国の有識者による討論会が開かれた。討論のテーマは、「日本の歴史教科書問題に対する日本人の意識」だった。日本から渡ってきて韓国に住んでいる在日韓国人として、今回の討論会から多くのことを感じた。

日本で教育を受け続けてきた者としては、当然ながら中高校では韓国に関する客観的な知識を得られなかった。大学に入って初めて韓国について本格的に勉強できた。高校時代、折しも歴史教科書問題が韓日中の外交的な争点として浮上し、自然に民族の歴史に関心を持つようになった。

これまで両国の学者の努力で日本の歴史教科書はかなり改善してきた。一方、これに対する反動として「新しい歴史教科書を作る会」が登場し、東アジアに波紋を投げかけている。「新しい歴史教科書を作る会」の主張は、こじつけだらけで韓国人には受け入れがたいものだろう。しかし、このような意見が日本の社会内部でかなりの力を発揮していることを直視しなければならない。決して無視と感情的対応で対処すべき問題ではない。

韓国の新聞社の日本語版ホームページの掲示板には、連日のように日本人の意見が寄せられている。 その中には悪口や差別語まで見られる。ところが、韓国人の中でも論理的討論よりはサイバーテロなど正常でない反応に走る場合もある。

今回の討論会の趣旨は、両国が感情的対立を超え、理性的な対話に向かおうというものだった。ある日本人の参加者は、両国間の討論の活性化を図るため、両国の各界各層の人々が出席するテレビ討論会を両国で同時放送することを提案したこともある。私はやはり、民間レベルでの討論の活性化が両国の溝を埋めるのに役立つと確信する。

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