1995年4月

病気療養しながら仕事を続ける事がいかに辛いかこれは経験した者でないと理解できないであろう、周囲の人の配慮は理解するが朝会社に来て何をしようか考える日々・・仕事が ない毎日は辛く悲しい・・こんな状態からは何としても脱出したかった。かねてから誘いがあった韓国の会社オーナーに宛てた手紙の内容である。

 

拝啓  

深まりゆく秋の気配をひしひしと感じる季節となりました。那須の山も紅葉狩りで沢山 の観光客で賑わっています。  
さて私の退職の件ですがその後いろいろ考えました、結論として本年の12月20日 付で36年間勤務した○○電機を退社する事にしました、まだ退職届は提出していません が私の意思は決まりましたし多分変更は無いと思います、妻も了解しています。  ここで今後の事もありますので退社の理由やこれからの生活に関しての基本的考え方等 を社長にお伝えしておきたいと思います、その上で私の希望が実現できるよう協力して もらえれば大変有り難いと考えます。

退社の理由

  • 現状で東京に毎日通勤(朝6時発)する事は体力的にもたない、また運動療法(散歩約1時間)も出来ない
  • 地元地区での勤務はやりがいのある仕事が見い出せない。(一人で出来る仕事には限界有り)
  • 会社では幹部社員の削減のため早期退職優遇制度を作り約350名の減員を計ろうとしているのでこの制度の適用を受けたい。
  • 60才になればいやでも退職になるので、早くやめて第二の人生を確立したい。
今後の生活設計について
  • 退職により収入は無くなるが退職金などで普通の生活をすれば夫婦2人が食べていける事は出来るのでボランティア活動を中心に社会に貢献したい。
  • 大田原国際交流会に所属しいろいろな活動をやって来ましたが来年はネパ−ル国に学校を造ろうとしています、この事業にもっと積極的に参加出来ないかと考えています。年末には10日間の日程でネパ−ルに調査に行く予定です。
  • 私が過去36年間経験して来た、生産技術、製造技術、品質管理等の工場管理全般について指導教育するようなボランティア活動をしたい、特に中小企業の育成に貢献出来ればと思っています。
  • 先日、社長の話しを聞きましたが、私は好きな韓国で社長の会社の支援が出来たら何よりの幸せと考えます。
貴社を指導する前提条件(親しい仲でも大切な事なので条件としました)
  • 10日〜20日間/1ヶ月間韓国滞在し残りは日本に滞在する。(来年の7月までは毎月一回の自治医大病院での検診があるため、どうしても毎月1度は日本に 帰る必要がある、その後はだんだん期間が延びるかもしれません)
  • 社長に話した通り給料は実質的にかかる実費費用(旅費、交通費、宿泊費、食事 代、等)を頂ければ結構です、それ以上は必要ありません。
  • 宿泊場所は歩いて工場に行ける所が良い。韓国語の勉強が休日出来る所が有れば非常に良いです。
  • 勤務時間は朝1時間遅れて出勤(7時間労働、但し打合、会議等は時間外でも勤務する)し健康管理第一の生活をする。
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  • 希望が実現出来ればこれを機会に韓国語をマスタ−して日本と韓国との間の国際交流に役立ちたいと夢を見ています。また将来貴社製品の日本での販売に対しても支援出来るのではないかとも考えます。

以上が私から社長に事前に話しておきたかった内容です、これについての社長の考えは後日聞きたいと思います。 大陸会社の益々のご発展をお祈りしていますと共によろしくご配慮のほどお願い申し上げます。                                1994-10-18     柿澤邦雄 
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