2003年が明けました、元旦は良い天気でしたが2日目以降は寒さも厳しくなりなりました。
初詣以外は外出せず家で読書で過ごしました。その中で韓国に関係する書籍を紹介します。

2003/1


「韓国と日本の歴史地図」

竹光 誠 著(明治学院大学教授) 「梶@青春出版社」¥667
2002年4月15日発行  ISBN4−413−04017−1


ワールドカップサッカー大会も終わり「韓国に親しみを感じる」という人が増えています、また買い物、韓国エステ、韓国料理などを目的に観光する若い日本人も増加していると聞きます。
韓国と日本の歴史的経緯から平均的な韓国人(漢民族)が日本に対して潜在的に持っている感情には以外に無関心です。靖国問題などで一旦火がつくと過激な反日キャンペーンが始まるのは深層に韓国人が持ち続けている加害者である日本があるからです。
この本は古代から現代までの歴史をたどり日本と韓国の関係をわかりやすく解説していました。倭寇、秀吉の朝鮮出兵、日韓併合の三度の日本による侵略などの内容も歴史事実として知っておく必要があります。
「儒教の韓国、神道の日本の比較からビジネスおいても若い日本人が韓国人に対して「黙って私についてきなさい」というような態度は絶対にさけなければならない、儒教的合理性を身につけた彼らが納得する説明をすべきである」というような内容は印象に残りました。


「馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人」

鄭 銀淑 著 (取材コーディネーター)「椛o葉社」¥819
2002年8月15日発行  ISDN4−575−15321−4

衝撃的な名前の本だったのでインターネット書店で購入しました。内容的には韓国関係書籍の日韓比較文化論です。

表紙の「犬を食べる韓国人」に関する歴史的な背景などに新発見があるかと思い購入したが内容的には表面的な食文化論で終わっていて拍子抜けの感じでした。しかし「韓国人と性」の 3章は「純潔」「同性愛」「不倫」「整形先進国」などは女性が書いたものとしては思い切った内容 でやはり儒教的規範が残っている韓国でもそうかと感じた次第です。


「ナショナリズムの克服」

姜 尚 中(東京大学社会情報研究所教授) 森巣 博 (作家)「梶@集英社」¥700
2002年11月20発行  ISDN4−08−720167−8

在日韓国・朝鮮人である姜先生と国際的博打ちのと自称している作家との対談集です。日本の進歩的文化人と称される人は反体制的であり、反体制勢力がないと日本の進路を危うくするという論理には共感がもてます。しかしこの本のなかで石原新太郎東京都知事を極右と呼ばずに、 三国人発言や不法中国人の犯罪にたいする発言を許容してしまう現状を問題にしていますが 現在の石原都知事を全面否定し極右と断定する人は少数派ではないでしょうか。
小泉首相の靖国神社参拝では韓国内でマスコミは一斉に批判の嵐ばかりでした、中でも国鉄の ソウルー釜山間のセマウル特急列車での日本語案内まで中止したのには驚きましたがまさに韓国の「病のようなナショナリズム」の一端を感じました。
韓国と日本を比べたら日本人の愛国心などは比較できない希薄なような気がします、もう少し学校教育を含めて修正すべきことと思うのですがこの本ではナショナリズムは悪として考えこの様な傾向を日本の右翼化への危機として警告しています。左から中央を眺めれば全ては右に見えるのです、従って著者の主張も一つの考えでありますが是非上から眺められる知性を持つ事が肝要です。


「ソウルに刻まれた日本」

鄭 雲 鉉 著 (ジャーナリスト・作家) 「梶@桐書房」¥2200
1999年12月15日発行  ISDN4−87647−458−3

序文に「本書はソウルに残されている日本帝国主義統治の傷痕を踏破した記録」であると書いてある通り現在でも残っている建物・道路・言葉はどを日帝の残滓として当時の写真を含め紹介しています。
日韓併合時代の残滓は倭色(消してゆくべき日本風)としてなくす無くしたいというのが韓国人の心に残っています。象徴的な出来事としては光復50年の行事で京福宮内にあった日本の朝鮮総督府の建物の解体でしょう。私はこの建物が博物館として活用されていた時代に何度か見学したことがありましたが大理石の立派な建物であったことを記憶しています。今では跡形も無く京福宮興礼門ができて整備されています。
ソウル駅、朝鮮銀行、旧三越百貨店などの建物はよく見ますが作者の考えのように日帝の残滓として紹介されるのであれば日本人としては早く全ての建物の解体撤去してもらいたいものと思いました。また明洞近くの日本人家屋街などは初めて聞く話ですので一度訪問したいと思います。 これは「日本人として過去の思い出」を訪ねるのではなくではなくあくまで歴史の検証として興味があります。


「韓国がわかるハングルは楽しい」

金 裕 鴻 著 (早稲田・慶応大学講師) 「PHP研究所」¥680
2002年6月28日   ISBN4−569−62146−5

韓国語の入門書です。しかし最初からハングルの訳のわからない記号のような文字が出てくるのではなく「一人では酒を飲まない」「韓国人と犬肉」「予定の好きな日本人、予定は未定の韓国人」 などの話があり興味をもって韓国・韓国語に親しみが出るように工夫されていました。
中でも予定は未定の韓国人論には私自身が悩んでいましたからこれが韓国人特有の日本人との比較文化の差であることが解ってことが収穫でした。
ハングルに関してはやはり発音は日本語のカタカナでは表現が困難であるからこの本で暗記して現地で使ってもまず通じないでしょう。やはりハングルに慣れるため平行してNHKのハングル講座を聞くことをお勧めします。


「物語 韓国人」

田中 明 (拓殖大学海外事情研究所教授) 「梶@文芸春秋社」¥680
2001年8月20日発行 ISBN4−16−660188−1

最近読んだ中では内容のある本でした。16世紀以降の朝鮮では朱子学を尊信するようになると文を尊び武を軽視するようになり観念的な道学的政治論とすざましい権力闘争が横行したと記してあります。
朱子学に関して司馬遼太郎氏の話が載っていました。朱子学は宋以前の儒学とは違い極端にイデオロギー学だった、朱子学が得意とする大儀名分論というのは何が正で何が邪かということを論議することで時代と共に正の幅が狭くなり、妥協を許さぬ方向へ人を駆り立てる思想なのだそうです。
つい最近までの韓国の進歩派は北朝鮮は主体の国であり韓国は在韓米軍に守ってもらっている従属国家だというテーゼを信奉することで、その他のことは無視している、文民政治の伝統は北朝鮮の国民が飢餓線上をさまよっている事実より言葉が重要なのだそうです。
なるほど、たしか韓国大統領が初めて日本にきた時昭和天皇の晩餐会でのお言葉が話題になりましたがこのときのお詫びの言葉「哀惜の念」が韓国人には理解できなかったと言われたことがあったのを思い出しました。 もっと解り易い表現ではっきり謝罪したほうがよかったのかもしれません。
日韓新時代といわれながら日本人には依然として見えにくい隣国の歴史の深層を分析した本でした。


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