日韓共催のFIFAワールドカップサッカーも無事に成功裡に終了しました、今回の大会を通じ 日韓の距離が少しは縮まった感があります。今年の夏休みに読んだ書籍を紹介します。                         

2002/8


親日派のための弁明

金 完 燮(キム ワンソプ)著(評論家)「草思社」¥1500
2002年7月18日発行  ISBN4−7042−1152−X

「昼は反日、夜は親日」とか「公式的には反日だけど、私的には親日である」前者は理の世界、後者 は気の世界であるといいます。同じ韓国人でも底流にはこの世界がありいつも理の好きな知識人・マスコミ 人が威張っています。明るく陽気でネアカの韓国人は食とか歌謡とか生活などの気の世界では実に楽しい民族だと思います。したがって竹島(独島)問題、教科書問題、慰安婦問題などの日韓関係の諸問題に関して の背景はこの本を読むと良く理解できる筈です。なぜ「過去離れできないのか」日本がいくら謝罪 し反省しても韓国にはまだそれを受け入れる姿勢が出来ていないというのがより正解なので、 韓国(人)は日本を許してしまうことに不安なのだ・・というのが著者の結論のようです。

日本人に伝えたい!

鄭 夢 準著(韓国サッカー協会会長)「日経BPセンター」¥1400
2001年10月1日発行  ISBN4−8222−4220

読後感として「著者はやはり政治家だなー」と感じました。「日本人に伝えたい10の話」は今まで政治家やマスコミが日本に対して伝えている内容とあまり変わらないもので私としては国際感覚も抜群で知日派でもある著者ですから旧世代の主張とは違う新韓国人感覚での新しい提言が含まれているのかと期待したがあまり新味はなかったように思います。
もっとも現役の国会議員でありその発言内容は限界が有るのかもしれません。しかし「W杯サッカー共催の秘話」は読んでいてFIFAの副会長としての著者のサッカー開催にかける論理と行動と情熱が伝わって来ます、この人が居なかったら韓国との共催は実現せず日本単独開催になったかもしれません。反面、日本サッカー協会はどんな内容の主張をして来たのか発言内容が伝わって来ないのが残念であり協会の国際的な地位の低さを感じます。

W杯サッカーも終了し韓国が4強まで進んだ評価を受け大統領選挙に出馬する可能性が巷のうわさになっています。韓国政治に新しい風を吹かせることが出来るか当面大統領選挙から目が離せない状況が続くでしょう。


日・韓同盟VS中国 経済サバイバーゲームの「勝ち組み」は?

T・W・カン著(経営コンサルタント)「株式会社ビジネス社」¥1500
2002年5月21日発行   ISBN4-8284-0982-3

最近中国の上海や北京に行く機会が増えていますが中国で感じる沸き立つような活気とくらべ日本の閉塞感を考えると如何すべきなのか暗たんたる思いがします。著者は在日韓国人でありアメリカで勉強し国際的な環境で教育、ビジネスの経験を積んだ人ですから国際感覚で日韓両国の問題点を鋭く指摘しています。日韓病というのがありそれは相対的な視点から見ると「内向性」と「単一性」 にある、つまり「外向性」と「多様性」に乏しいための弊害があるといいます。最近の中国の国際的プレゼンスが高まっていることに対抗するためにも日韓両国がお互いに一民族を強調するナショナリズムのようなものをトーンダウンさせて民族中心主義から民族合理主義へ移行し協力してすべき時であると述べている。具体的にはFTAへの第一歩として日韓スーパー経済特区を済州島に作り世界のブレーンとマネーを吸引できるような優遇措置を準備するというものだが・・・さて気が遠くなるような時間がかかる課題であることは確かです。在日韓国人の二世がグローバルな視点から日韓問題を正面から取り上げ解決策を発表することに大変意義があると感じました。


朝鮮銀行

多田井喜生著(財団法人日本総合研究所参与)[PHP研究所]¥740
2002年3月1日発行   ISBN4-569-62925-6

本書は日本の大陸進出の金融・財政面での実態を、日本が植民地にした朝鮮に設立した朝鮮銀行を通して明らかにしていきます。
日華事変が始まった昭和十二年から終戦までの東京の小売物価は二・五倍に止まった。しかし、日本軍が占領していた北京や上海では一千倍にもなった。本来、植民地である以上中央銀行業務は日本の中央銀行である日本銀行が行うべきであったが、朝鮮銀行が設立されたことで朝鮮はもとより旧満州や北京上海などでは朝鮮銀行券が流通し戦争による物価高騰を日本に波及 させずに済んだのである。やはりこの面からも日本のために韓国併合を行ったことが明瞭である。

三十六年の歴史をもつ朝鮮銀行は常に順調だったのではない。設立当初の金本位制と銀本位制の相克、第一次世界大戦後の“バブル”と、その後の世界恐慌の結果、朝鮮銀行には不良債権が急増して資産内容が急激に悪化し処理が終わるのは実に昭和十六年になってからであった。

朝鮮銀行はそのまま大韓民国に引き継がれるが、旧朝鮮銀行券が流通を止めるのは皮肉にも朝鮮戦争で北朝鮮軍が紙幣印刷原版を接収し大量の紙幣を増発このため新韓国銀行券を日本で印刷したことが契機になったという。


どうしてアナタは韓国にきたんですか? ソウル特派員の熱血1000日記

五味洋治著(東京<中日>新聞ソウル特派員)「潟Gクスナレッジ」¥1400
2002年3月15日発行   ISBN4−7684-0163X

著者は37歳から留学生としてソウルに滞在しその後新聞社の特派員として3年間韓国に滞在中の生活体験をまとめたものです。
韓国に興味があり少しでも韓国に滞在した人にとっては面白い内容で数々の雑学が入手できました。反面観光程度での短期滞在では興味も半減かも知れません。 お酒に関する話、タクシーでの話、韓国人の山登り、韓国マスコミ情報など著者が実生活の中での体験談ですから読んでいて苦笑する場面が多くありました。

気楽に読んで「韓国人の人間臭さ」と「韓国パワー」が理解できれば1400円の価値も出てくると思います。


レンギョウの咲く国で 在韓50年・日本人女性の手記

伊東澄子 著(主婦)[非売品] 1997年自費出版

地元の大田原国際交流会で韓国・清州市に中学生の相互ホームステイ交流を実施した時に清州市 にすむ著者からプレゼントされたものです。 日本で教師をされていた朝鮮人と結婚し、終戦後ご主人に従い韓国に引きあげましたがその生活 は反日感情も厳しく大変でした、とくに朝鮮戦争(韓国戦争)中は山の中に逃げたり食べるものが なく過酷な毎日の様子が書かれています。
既にご主人は他界されましたが今日まで生き長らえたのは家族や親戚はむろん近隣の韓国人の助けがあったからで感謝していると結んでいます。
伊藤さんは80歳と聞いたがお元気でした、現在でも学生に日本語を教えたり国際交流事業に 頑張っているそうです、どうぞいつまでもお元気でお過ごし下さい。



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