早いものでもう師走の冷たい風が吹き付けています。韓国の経済は本年度後半から急速に悪くなっていますの で庶民の暮らしはさらに冷たく厳しく感じます、来年はもっと明るい年になるよう祈るばかりです。最近読んだ 書籍を紹介します。                        

2003/12


黄金の海 イシモチの海」(韓国西海岸歴史民俗探訪)

朱 剛 玄著(JOO Kang-Hyun)(民俗文化研究所所長・各種団体代表)
「財団法人 法政大学出版局」¥3000
2003年6月30日発行  ISBN4−588−08015−6

韓国には「くるび」と呼ばれている乾燥された魚があります、韓国人にとっては西海岸で獲れる最高にしてさまざまな歳時や祭りに欠かすことの出来ない重要な魚です。日本名でイシモチですが漁獲量が少なくなったのか非常に高価な魚(一匹3000円〜4000円)になっています。

この著者は韓国西海岸の浦々を踏査して、このイシモチにまつわる伝承と漁業技術の変遷などを記録し忘れられた漁民たちの生活と信仰を浮彫りにしています。イシモチがテーマですが人々の記憶と文献から私達が取り入れた科学的漁法がなにを根拠に魚を絶やしてしまったのか、私達はなぜ自然との相互関係を否定し他の種を絶滅させる権限と能力をもっていると勘違いしたのか、イシモチ滅亡史を通して海の生態系を破壊した現代社会を告発し生命の源の海の復活をめざす警世の書物です。


なぜだか韓国でいちばん有名な日本人

野平俊水著 (韓国・全南大学講師) 「梶@亜紀書房」¥1500
2003年7月25日発行  ISBN4−7505−0303−7 

題名どおり、筆者は韓国で今最も知られ人気のある日本人です、私の会社のおばさんでも知っています。子供から主婦まで知らない人はいないようです。
大学講師を務める一方、流暢(りゅうちょう)な韓国語を駆使してますが全羅道なまりがよけい親しみを感じます。テレビでコメンテーターもこなすマルチタレントでもあります。

本書は、その十三年の韓国生活体験記です、タイトルからはコミカルな内容を想像してしまいます。もちろん韓国人や韓国の生活が楽しく描かれているのだが、体験を通した韓国社会の姿、現在進行形の韓国国民の意識変化を的確にとらえている。同時に「日本人が嫌い」なはずの韓国社会で、なぜ日本人の筆者がテレビにまで登場し、人気を集めているのか、韓国人の対日観の変化を冷静に分析、解説している。読み進むにつれ、筆者が韓国社会の隅々にまでアンテナをはりめぐらし、研究していることに気が付きます。新聞の片隅の記事や、世間から見向きもされない本まで、筆者が真摯(しんし)に向かい合った結果です。筆者が韓国で一目置かれ、有名たり得る理由がおのずと解ってくる一冊です。


空白の北朝鮮現代史(白頭山を売った金日成)

金 基 燦著 (元朝鮮総連活動家) 「梶@新潮社」¥680
2003年6月20日発行   ISBN4ー10−610019−3

副題に興味を惹かれ購入しました、中国と北朝鮮の国境にある白頭山(2750m)は韓国人にはもっとも神聖で有名な山です、日本の富士山と同じように遠い昔から漢民族は聖山として崇めてきた訳は古朝鮮国を開きその国の始祖となった檀君は多くの民を率いて白頭山の麗にくだり1500年ものあいだ国を治めたとする檀君信仰によるところです。

最近にわかに話題になっている北朝鮮ですが・・金親子の罪悪は核やミサイル開発による軍事威嚇、拉致事件だけでなく民族の聖なる白頭山まで朝鮮戦争時に支援との見返りに中国に売り渡したという告発内容です。
この山に関する歴史的経緯を細かく調査した内容や白頭山への紀行文などから著者のこの山に対する思いが伝わってきます、いつか私も登ってみたい山の一つです。


私は韓国を変える

盧武鉉(韓国第16代大統領)著  「朝日新聞社」¥1300
2003年3月発行      ISBN4−02ー257825−4

内容に関して一言で言えば若い世代の支持を受けて大統領に当選した人のリーダーシップ論です。本の表題から日韓関係に関しても新しい考え方が出ているのかと期待し購入したが日本に対してのメッセージは特に無かったのでなぜか期待を外された感じがしました。


日中韓 親三国志

黒田勝弘、古森義久共著  「梶@徳間書店」¥1600
2003年1月発行     ISBN4−19−861631−0

2003年は世界もアジアも激動の年でありこうした不安定、不透明の時代だから国際情勢を冷徹にみる目が必要となります。特に日本への直接の余波が大きいアジアでの動きをしっかり見据える多角的で焦点のしぼられた視線が欠かせないとまえがきにありましたがその通りです。

この中で印象に残った話として「日本のマスコミが作った中国は親日という虚像」というのがあります、日本では各地に「日中友好」という名前のもとに活動して団体が数多くあります、この出活動している日本人のほとんどは自分の自由な判断、自由の意思で活動していることは間違いないでしょう。

しかし中国側では民間団体はないのですね、昨年「日中友好市民訪中団」の一員として友好関係にある都市を訪問したのですが相手になったのは共産党の支配下にある人達ばかりで市民の相互交流はまったく出来ないのです、意味不明の日中友好市民訪中団でした。

韓国についてはどうでしょうか、反日のための三種の神器(慰安婦問題、教科書問題、竹島問題)の話や北朝鮮への憎しみより同胞意識の方が勝っている話、意識はナショナリズム、経済はグローバリズムなどの話は現地にいる者としてはなるほどと思う話しでした。

中国ー韓国に関する話も参考になりました、著者は一般的には左側に属する人であると言われていますが事実をもとにした正論には右左はないはずです。今後の近隣国に関係する報道には関心をもって自分なりの判断が必要です。


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