2016.10

 韓国3名峰のひとつである智異山(チリサン)にはぜひ登りたいと思っていた。智異山の山名の由来は「愚かな者でも山で一晩過ごせば知恵のある者になる」という言い伝えにあると言われている山である。

 智異山(チリサン)は非常に大きな山で主峰の天王峰(チョワンボン:1915m)に一日で登るのは私のような年寄には危険で無理だと言われたので比較的簡単に登れる智異山系の一つの老姑壇(ノゴダン:1507m)ルートを登った。
 
▲普通電車で水原駅から4時間かかった場所
 
 ソウル郊外の水原駅からまで普通電車で4時間もかかって夕方に全羅南道の求礼口駅(クレクヨ)に到着した。駅からタクシーで20分ぐらいで着いたところが智異山ふもとのペンションであった。この宿には食事の提供が無いので近くの食堂で野菜定食を食べてから宿泊し、翌日は朝早く5時に起床した。お湯を沸かして部屋で駅で買った辛ラーメン一杯を食べてすぐにバス停留所に向かった。6時10分発の姓三台(ソンサムジェ)休憩所まで行くバスの乗客は5人だけだった。

 
▲求礼口(クレク)駅  ▲ペンション近くの食堂 
▲野菜定食 ▲朝食は辛ラーメン一杯

 山の中腹で運転手が突然バスを停車してくれ「雲海が綺麗だから見てください!」と言うので全員が外に出た。確かに見渡すと山々の間に美しい雲海がたなびいている風景を眺めることが出来た、写真を撮って再びバスに乗り姓三台(ソンサムジェ)休憩所に到着したのは朝の7時頃でまだ人影は少なかった。案内板にはここから目指す老姑壇(ノゴダン:1507m)まで2.6kmで1時間半とあった。

 すぐに広い山道を歩き始めたが長いダラダラとした坂道だが何だか体が重い。なにかおかしい疲れる?・・朝飯をしっかり食べなかったのが原因か、チョコレートを食べて補ったが・・朝食が早すぎたので体調管理を失敗したようだ。

▲出発地点から眺めたピークが目標  ▲雲海が美しい 
▲姓三台(ソンサムジェ)休憩所 ▲韓国人Grは歩くのが早い!

 この日は好天気のようだ、ソンサムジェ休憩所を出発して30分ぐらい登ると看板が立っており、階段が見え大きな道を通るよりも近道のようで階段を登った。長い木階段を登り石の坂道を登るが足が重いのは治らない。やっとのことでノゴダン避難所という場所に着いた、ここは宿泊も出来る大きな避難所だった。ここでゆっくり休んで体力を回復させて出発した。

 ▲近道の階段を登る        
▲階段を登ったら石道、この先が休憩所
▲ノゴダン避難所から出発

 この老姑壇(ノゴダン)避難所から20分ぐらいで樹木帯を抜けると急に見晴らしが良くなり周囲の山々が見渡せた、右手には広い木道が頂上まで続いているのが見えた。木道では、青い空、ススキを揺らすこころよい風、初秋の山の空気などが心を癒してくれた。

▲登った先にケルンがあった、右手に山頂までの木道が続いていた  
 
▲頂上まで続く広い木道 
           ▲主峰の天王峰ははるか彼方に小さく見えるだけ「同じ山」という実感がわかない距離だ  

 周囲の風景や足元の草花など眺めながら木道をゆっくり登って老姑壇(ノゴダン1507m)の頂上に着いたのは9時頃になっていたから7時から約2時間の山登りだった。

 頂上は天空の城ラピュタの秋晴れの空を散歩してる気分になる、同行の韓国人から飛び跳ねた瞬間を記念に撮ったらどうか提案があり・・つい調子に乗って何度か失敗しながらも撮影してもらった。この風景にはこのような万歳の写真が似合うかもしれない・(^^♪。

▲老姑壇(ノゴダン1507m)の頂上  
▲ラピュタのような秋晴れの空の下で調子に乗って飛び跳ねたが・・難しい!

 この老姑壇(ノゴダン:1507m)から智異山主峰の天王峰までの25.5kmの稜線を歩くコースは韓国の縦走の最長で途中の山小屋で2泊しなければならない健脚コースであると説明されたが大きなリックを背負った山姿の数人が稜線を向かって行くのが見えた。

 老姑壇への登山道は広大な智異山のほんの一部、動物の体に例えればしっぽ程度のものに過ぎないがなかなか侮れない山であるという感じを受けた。ソンサムジェ休憩所に下山したのはまだ11時頃で多くの登山客が登って来ていた、おばさんだけの団体もバスで来ていたので騒がしく皆さん元気一杯で登って行った。

   
▲青い空と紅葉が映えている   ▲おばさんの団体が出発  

 下山してからバス停の近くの食堂で智異山黒豚の「サムギョッサル」を腹いっぱい堪能してから約2km先にある韓国三大寺院の華厳寺(フォオムサ)がある。ぜひ拝観したいと思い歩いて登って行くが、お昼に食べた豚肉のパワーが出たのか歩く速度も速くなり午前中の体の重さもなくなった。やはり朝は中途半端な食事では「体内リズム」が狂って体の調子が出てこなかったようだ。


▲黒豚のサンギョクサルとチジミ

第一話

郊外に向かう普通電車を利用したが出発駅では無人の入り口を通り抜けて直接ホームに出て、目的地に到着した駅でも無人の改札口から外に出た。知人にネットで切符を購入して貰ったので、私の切符の価格や座席番号はスマホの中だから切符が手元にない。切符を持っていないので落ち着かない感じもある。

スマホが無い年配者は駅の窓口でバーコードの入ったペラペラの紙を持って座席に座っていた。不正乗車はゼロではなかもしれないが車掌はハンディターミナルでどの席が空席かはわかるようだ。「改札を機械化した日本と改札を無くした韓国」の差が面白い。

▲改札を無くして設備投資を無くし省人化を進めた韓国


第二話

下山した麓には華厳寺(フォオムサ)という名刹がある。韓国三大寺院の華厳寺(フォオムサ)は544年に創建され「華厳経」の二文字をとってつけたと伝えられている。

 秀吉の軍にすべて焼失し僧侶たちも殺されて建物の周りを囲んでいたという膨大な石経も、その時に壊されと解説されていた。多くの韓国の寺は秀吉軍によって焼き払われた悲しい過去の歴史がある。

 長い間、廃墟となっていたが1630年より碧岩禅師(ピョガムソンサ)が再建し始め1636年に完成したとされている。木造建築物としては韓国最大の規模とされている1703年築の国宝の覚皇殿(カックァンジョン)や1636年築の大雄殿、4頭の獅子の上に支えられた珍しい四獅子三層石塔など観て回った。

▲韓国では山と寺は一体である、山が寺であり寺が山である




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