今年の夏も暑かったです、暑い日は木陰で読書が一番です。夏休みに読んだ韓国関連の書籍です。

2005/9


韓国の軍隊

尹 載 善 著(大分大学・徳島大学教授)  [中公新書] ¥798
2004年8月25日発行  ISBN4ー12−101762−2

法律の変更で2重国籍者が徴兵遺棄のため韓国籍を捨てる人が多いと新聞のニュースにありましたがスポーツ選手や俳優、政治家の子息が「兵役逃れ」疑惑が時々報じられています。
韓国に存在する徴兵制度は大きな意味を持っています。北朝鮮とは休戦状態が続いていますし、南北会談により以前ほどの危機感はなくなっているとはいうものの依然として60万人の軍隊が維持されているからです。
この本では軍事文化という名前で韓国軍と徴兵制度の実態を内側から描いています。


好きになってはいけない国

菅野朋子 著(フリーライター)  [文芸春秋]  ¥590
2005年3月10日発行   ISBN4−16−767937−X


日本は嫌いだけど日本人は好きですという韓国人は多いのです。けれども著者は日本の歌手や音楽のフアンである韓国の若者であっても必ずしも日本の文化に無条件で受け入れているわけではないということを書いています。
韓国の若者の日本への複雑な思いと新しい日韓関係の可能性を、ヨン様現象の裏表から経済事情や性意識をまじえた現地の視点で描いています。


日韓新考

黒田 勝弘 著(産経新聞ソウル支局長兼論説委員)[扶桑社] ¥680
2005年5月20日発行 ISBN4−594−04888−9


私は韓国は嫌いだ!という人がかなり多いですがこの原因の一つが日本の「贖罪史観」と韓国から繰返し言われる「謝罪と反省」に対する反発であると思います。筆者は長い韓国生活からそうのような韓国についての「味わい方」を書いていると言っています。読んでみると、なるほどとか、やっぱり、とか思い当たること が多く思わず苦笑してしまいました。「韓流」ブームに沸く今、真の日韓関係のありかたを再度考えることが出来た本でした。


半島を出よ(上・下)

村上 龍 著 (作家) [株式会社 幻冬社] 上:¥1800 下:¥1900
2005年3月25日発行 上:ISBN4−344−00759−X 下:ISBN4−344−00760−3

北朝鮮の特殊戦部隊兵士9人が開幕戦が進行中の福岡ドームを武力占拠します。
2時間後に484人の後続の特殊部隊が来て、ドーム周辺を制圧し、シーホークに本部を構えるのです。最近の北朝鮮情勢を考えるといかにも近未来の日本でいかにも起こりそうな状況設定です。

時代設定は今から7年後でその時の日本はホームレスが4倍に増え、自殺者は9万人(今は3万人)、失業率は9%(今の2倍)、若い世代の犯罪率が異様に増加し、治安悪化は著しい。特殊部隊に福岡が制圧されても、東京の政府は無為無策で、九州を切り離してテロ部隊の状況を阻止しようとするだけ。アメリカ軍がまったく出てこないところが不思議で奇妙な感じです。自衛隊の動きもなく、ただ大阪から警察の特殊部隊(SAT)がやって来て逆に全滅させられてしまうのです。

やがて、北朝鮮から12万人の軍隊が船でやって来るという緊張した状況になり、その受け入れに福岡市当局は協力します。住基ネット情報から福岡市内の金持ちが次々に重犯罪人として逮捕連行され、酷い拷問の末に財産放棄書にサインさせられます。

やがて、アナーキーな集団イシハラの仲間は多数派に組しない、人に良く思われたって、悪く思われたって、そんなこと気にしたってしょうがない、好きに生きて、それで、あえばいいし、あわなくてもいい…そんな若者がそれぞれの持つ知識を寄せ集め部隊の殲滅してしまいます。

正義や大義を振りかざさない彼らの闘いはすがすがしいがやはり現実離れしていて私には馴染めない。日本の危機管理能力を問う作品でもなさそうである。
このような分厚い本を一気に読みきった爽快感だけが残った。

 







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